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第104話※

「っ、あ!」 蕾に指先が触れ、ツプッとナカに差し込まれた。 「翼…。怖いか?」 「っ、ん、だ、いじょぶ…」 ギク、と一瞬強張ってしまった身体は、すぐに火宮に気づかれた。 「へ、いき…だから、続け、て…」 一瞬感じた恐怖は、身体に刻まれたあの日の記憶。 一生残れと願ってつけた、手酷い傷の名残でしかない。 「塗り替えてやる」 「んっ…好き。火宮さん、好き…」 チュクチュクと、性器から滴った蜜を塗り込められ、蕾が丁寧に解されていく。 そこにあるのは優しい気遣いと、これでもかというほど丁寧な愛撫。 「やだっ、やだぁっ…そんなに、したらっ…」 グチュ、とか、ジュプッとか、いやらしい水音が上がり、たまらず羞恥に目を閉じる。 「ククッ、ここ、だったな」 「ひぅっ!あっ、あ、あぁぁっ」 ビリッと痺れるような快感の湧く一点を捏ねられ、思わずビクリと腰が浮く。 勃ち上がった性器が欲の解放を求め、フルフルと浅ましく揺れてしまっているのがわかる。 「やっ、そこ、イッちゃうっ…」 「いいぞ?」 「やだっ、やだぁっ…」 指だけでなんていきたくない。 「ひ、みや、さっ…」 「クッ、そんな顔もできたのか」 どんな顔なんだか自分ではわからないけど、火宮の目が悦びに揺れている。 「物欲しげな、欲情を煽るいやらしい表情だ」 「んぁっ、は、やく…やぁ」 「翼、言え。どうして欲しい?」 ニヤリ、と唇の端を吊り上げて、サディスティックな笑みを浮かべる顔が俺に向く。 「っ…い、っれ、て」 「何を」 意地悪ーッ! 「ん?ほら、翼。指か?それとも玩具が欲しいのか?」 ユラユラと、後孔に差し込まれた指を揺らされて、たまらず身悶える。 「いやっ、いゃぁ…ひ、みや、さっ…」 「ん?」 「ひ、みやさんっ、がっ…欲し…」 「ククッ…」 「は、やく、挿れてっ…お願っ…」 恥ずかしい。 なんでこんなこと懇願しているんだろう。 だけどその意地悪も、愉悦に揺れる笑い声も、全部が刺激となって快感が押し寄せる。 「火宮さ…っアァッ!」 いきなり指が引かれたと思った瞬間、火宮の太くて熱いものに、一気に後ろを貫かれていた。 「っ、あ、ンッ…ひ、みやさん?」 「なんだ。挿れてやったぞ」 なっ…。このどSッ! みっしりと後ろを埋めつくしたまま、ピクリとも動かない火宮の意図が読めた。 読めたと同時に、その意地悪さ加減に目眩がしてくる。 「い、じわ、るっ…」 「ククッ、こんなに熱く熟れて奥へ誘い込むように絡みつかせてくるくせに、よく言う」 「っつ…」 「クッ、締まったぞ。いやらしい穴だ」 ナカを穿ったまま、押しも引きもしてくれず、意地悪な言葉だけが与えられる。 「下の口は利口だな。上の口はどうする?」 眇めた目に見下ろされ、ゾクンッと欲が湧き上がる。 「んぁ…う、ごいて…」 まるで火宮の視線に操られるかのように、口が勝手に言葉を作り出す。 「ほら」 「っ、や、もっと…もっと強く…」 「こうか?」 「あぁっ、もっと奥まで突いてっ…ナカ、を、グチャグチャに掻き混ぜてっ…」 焦らされたせいで理性は崩壊し、熱に浮かされたように、恥ずかしい台詞が次々と口をつく。 「あぁっ、もっと、擦って…いいっ、ァッ」 「クッ、もっと乱れろ」 「ひぃぁっ…火宮さっ…」 ズンと奥深くを穿つ熱。 もっともっとと勝手に動く腰を、恥ずかしいと思う余裕はもうない。 「んぁっ、好き。火宮さんっ、大好き」 「あぁ、翼」 嬉しい。幸せ。 重なる身体が、重なる心が。 温かくて泣けてくる。 「あっ、あぁっ、ンッ…」 激しく揺さぶられ、強く突かれ、いいところを擦られる。 乱れた前髪がハラリと額にかかり、その下から覗く火宮の双眸が欲情に濡れて色っぽい。 「っ、あ、もっ…イ、く…」 「くっ、翼…」 キュッと寄った眉が、荒くなった吐息が、律動につられて揺れる表情が。 むせ返るような色気を放ち、俺の絶頂を後押しする。 「っ…」 堕ちる! 一際激しくナカを擦られ、上り詰めた高い高い頂きから一気に…。 「っ、あぁぁっ…あァァッ!」 派手に白濁を飛び散らせ、後ろをぎゅうと締めてしまった。 「くっ…おまえは…ッ」 あぁ、本当、イキ顔やばい。 綺麗に整った火宮の顔が、欲情の中に落ちていく様は、たまらない色気がある。 掠れた吐息が耳にかかり、ナカにドクドクと注がれる熱を感じ、幸せで顔が緩んでいく。 「翼、愛してる」 っ! 反則! ふわりと、真綿で包むように優しく柔らかく、心に触れた言葉に震える。 「っ…」 俺も。 伝えたい想いが溢れ過ぎて、言葉は嗚咽に代わってしまった。 「分かってる」 ふわりと綻んだ火宮の顔があまりに美しくて、一瞬息が止まる。 幸せ、すぎる…。 そっと髪を撫でてきた手が頬を包み、恭しく、優しく、額にキスが落とされる。 ジーンと温かくなった胸の内を感じて、スゥッと一筋、目尻から涙が伝った。

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