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第118話※

「ククッ……残念」 え…。 やけに溜めてから吐かれた言葉は、上手く飲み込み切れなかった。 ジーンと痺れるようになった頭が、火宮の言葉を拒絶する。 「翼?何を呆けている」 「う…」 「現実逃避か?」 クックックッ、と愉悦を浮かべて笑う火宮は、嫌味なほどに現実だ。 「い、や…」 まだお仕置きが続くなんて。 追加の罰を与えられるなんて。 「ククッ、いい顔をする」 そそるぞ、と囁きながら、ギラリと欲情を浮かべる火宮が見えて、クラリと目眩がした。 「さてと」 妖しく目を光らせた火宮の手が伸びてくる。 ギクリと身体が固くなる。 何されるの…? 恐怖と不安に包まれた俺の、蕾を穿っている玩具に、火宮の長く綺麗な指先が触れた。 「っ!」 「1つ」 突き出た部分に指が掛かり、クイッと軽く玩具が引き抜かれた。 ヌプッと一瞬広がった蕾から、球が1つ引き出されたのが分かった。 「2つ」 「っあ!…んンッ…」 火宮の声に合わせて2つ目が、ツルンとナカから出て行く。 「3つ」 「やぁっ、んんっ、あぁっ…」 排泄にも似た感覚に、ゾワゾワと寒気が走った。 足の間に目を落とせば、抜き出された球がヌラヌラといやらしく光って、尻の間から生えている。 「嫌っ…いやぁ…」 あまりに淫らな光景を目の当たりにしてしまい、俺は慌ててギュッと固く目を瞑った。 「4つ……5つ」 ヌプッ、ヌプッと球の大きさに蕾が広がり、抜かれて戻るを繰り返した。 視界を閉ざしたせいで、やけにリアルにその感覚を覚え、慌てた俺はパッと目を開いた。 途端に、それはそれは意地悪く微笑んだ火宮の顔が見えた。 「さぁ翼、おまえの言った5個は出したぞ」 「っ…」 だから外れだ、と思い知らせているつもりか。 まだナカに球が残っていることくらい、言われなくても俺が1番よく分かっている。 「残念だったな。残りは、翼、おまえが自分で出せ」 それが罰だ、と言い放たれ、一瞬ホッと力が抜けた。 ここまで出されたんだ、後いくつかを引き出すくらい、もうどうってことない。 「わ、かりま、した…。じゃぁ手…」 拘束を取って、と手枷を揺らした俺は、火宮の酷く意地悪く眇められた目に射抜かれて、ゾクリと身体を震わせた。 「ま、さか…」 俺は、甘かった。 このどSの火宮に与えられる罰が、そう楽なもののはずがなかったのだ。 「クックックッ、仕置きだぞ?手を使わずに、自力で出せ」 見ていてやる、と艶やかに笑う火宮の声が聞こえ、目の前が真っ暗になった。 そうだった。 仕置きと名が付いたときの行為は、最悪なんだった。 「ふっ、ふぇっ…いや…許し、て…」 あまりの屈辱の予感に、目から涙がボロボロと溢れた。 「上手に出せたらな」 それまで泣こうが喚こうが許さない、と…。 本当、俺は何でこんなにどSで意地悪で酷いことも平気でするこの男が好きなんだろう。 こんなの、恋人に対する行為じゃないと思うのに、それで火宮が楽しくて悦ぶんだったら構わないと感じるあたり、俺はすっかりこの男に染まっているのか。 「ふぇっ…意地悪」 「ククッ、ほら、腹に力を入れろ」 「どSッ!」 無意味に吐き出す暴言は、火宮に軽く躱された。 ぐっと下腹部を押され、反射的にいきんでしまう身体が憎い。 だけど心底楽しそうに揺れる火宮の顔に、満足してしまうのもまた事実。 「くっ、うぅっ…鬼…苛めっ子…」 考えつく限りの暴言が口をつく。 そうでもしていないと、屈辱で頭がどうにかなってしまいそうだ。 「んっ…うぅっ、ンッ、あっ!」 ぐぐっと歯を食いしばっていきんだ瞬間、ツプンッと球が1つ、排出されたのを感じた。 「はぁっ…はぁっ…」 あぁ、まだナカにある…。 少なくとも1つ以上。 尻から生えたまま落ちない玩具の先を見て、俺は新たな絶望に涙した。 「ほら、頑張れ」 そんな応援をするくらいなら、もう許してくれればいいのに。 火宮はわざと玩具の先を持って上下に揺らして、次の球を出すことを催促してくる。 「ひぁっ、嫌っ、いやぁ…ばかひみやぁ」 「ククッ、あまり可愛くないことばかり言うと、せっかく出した球をまた中に戻すぞ」 ググッと玩具が押されて、俺はビクリと身を竦めた。 「嫌だっ!ごめっ、ごめんなさいっ!」 この人本気でやり兼ねない…。 あまりの恐怖で反射的に謝った俺を、火宮は楽しそうに見下ろす。 「ほら、次は?」 ククッと耳を擽る笑い声が、俺に次の球を出させる決心をさせた。

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