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第127話※

「ひぃあぁぁーっ…」 横一線に走ったのは確かに痛みなのに。 俺の身体はそれも快感と捉えた。 「ふっ、うぅぅっ…」 バッタリと床に倒れ込んだ身体が、長くいつまでも震える。 頭の芯がジーンと痺れたようになって、思考回路は完全にショートした。 「クッ、飛んだか。少々やり過ぎたか?」 ククッと笑う火宮の声が遠くに聞こえ、ゆらりと身体が浮いた。 「ん、ぁ…?」 「ふっ、ほら」 ふわりと背中が触れたのは、柔らかなベッドだろうか。 夢の中にいるみたいに、何だか感覚の全てが不確かだ。 「うっ、あぁぁ…」 「クッ、かなりの量だな」 「ん…ッ…」 「翼。おい、翼」 ペシペシと頬がはたかれ、ぼんやりとした視界に火宮の悪い笑みが見えた。 「じんっ、あぁっ…刃…」 意地悪っ、馬鹿っ、底なしサディストッ。 浮かぶ苦情は脳内だけで、口からはタラリと唾液がこぼれただけだった。 いつリングが外されたのか、中心からダラダラと溢れる白濁を感じる。 「ほら、ちょっとうつ伏せになれ」 「う、ンッ…」 クルンと返された身体が、パタンとベッドに突っ伏す。 「ん、よし。傷はないな。薄く色づいて色っぽい」 スッと撫でられるお尻がら、ゾクゾクとするような快感が湧き上がった。 「ふぁっ、いや、いやぁ…」 クチュッと指を差し込まれ、ナカのローターも取り出してもらえる。 まだ媚薬の効果が続いているのか、何度もイッたはずの性器がまた力を取り戻す。 自分で散々鞭をあてておいて、優しく癒すように触れてくる手がズルい。 「ククッ、一筋だけ、色濃い赤がまた…」 ツゥーッと指先一本で、真一文字に横に滑っていった火宮の手。 「そそる」 「っ、ば…あぁっ!」 ギュッと最後は指の腹で強く押され、うっかり馬鹿と言いかけた言葉は嬌声に変わった。 「ククッ、痛むか?」 「っ…」 痛くないから困ってる。 フルフルと左右に振った首を笑われた。 「どうする?」 「っ…」 何が、とは聞くまでもなかった。 「お、仕置き…は、終わり?」 「あぁ。反省しただろう?」 「っ、んっ!」 コクコクと上下に振った頭を、ポンポンと撫でられた。 あーあ、散々酷いことされたのにな。 「おまえが望む方でいい」 それでも好きってどういうこと。 「っ…そ、んなの…」 本当、火宮さんはズルすぎる。 怠い俺の身体を気遣うとか。 どんなに酷いお仕置きをしたって、本気で俺を傷付けることは絶対にしないんだ。 「ふっ、うっ、抱、いて…」 「ほぉ?」 「っ…ちょーだい」 そうですよ。好きですよ。 どんなところも、全部、全部。 そっと後ろに伸ばした手で、少しだけ熱を持ったお尻に触れる。 割れ目に沿わせて乗せた手で、パカとそこを開いてみせる。 「クッ…」 「ここに、ちょーだい?」 本当は死ぬほど恥ずかしい。 蕾が空気に触れたのを感じて、ゾワゾワと肌が粟立つ。 それでもあなたを悦ばせたい。 惚れ抜いている俺は重症だ。 そんなの言われなくたって分かってる。 そぉっと後ろを振り向いて、誘いを込めて見つめた火宮が、壮絶に妖艶に微笑んだ。 「どこで覚えた。手加減出来なくなるぞ」 あぁ、欲情に燃え上がった瞳が嬉しい。 「しなくていーですよ」 だって好き。 何されたって、どんな火宮だって。 ただただ馬鹿みたいに大好きだから。 「おまえはっ…」 初めて余裕を無くしたような火宮の声が聞こえた。 「っ、あぁっ!」 ガバッとのし掛かってきた身体の重みを感じた瞬間、べろりと背中が舐め上げられた。

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