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第191話※

「ひぁぁぁっ、あぁっ…」 目の前にチカチカと星が飛んで、頭が一瞬真っ白になった。 「くっ、締まる…ッ」 あぁぁ、やっぱり俺が先にイッちゃった。 射精の余韻で震えるナカを、ズッズッと擦る火宮は固いままだ。 「ククッ、その顔」 「あっ、あっ…」 言ってるそっちの顔の方がやばいって。 壮絶な色香を纏った意地悪な笑みに、イったばかりの中心がまた勃ち上がる。 「あぁっ、んっ、あンッ…それ、や…」 「ククッ、嫌?どれが」 ニヤリじゃないよ、このどS。 浅いところばかりを遊ぶように擦られて、焦れた奥が刺激を欲する。 「ククッ、足もナカも絡ませて。ん?どうして欲しい」 「あぁっ、わ、かって、るくせ、に…」 思わず腰に絡めた足で火宮の身体を引き寄せてしまう。 「ふっ、おまえは上の口より下の口の方が素直だな。奥へ奥へと誘うように絡みついてくるぞ」 「あぁっ…やぁ…」 言わないで。 だけどタイミングよく奥を穿たれ、文句は嬌声に代わってしまう。 「ふぁっ…あぁっ、あんっ…」 「ククッ、好きだ、翼。おまえだけがただ1人」 「っ、あぁっ!んっ、あンッ…」 な、に…? 強さも激しさも増した律動に、理性と思考回路がもう残っていない。 ただわかるのは、火宮の優しい顔が目の前で揺れているってこと。 俺を見つめる蕩けそうな瞳は甘く、その目に見つめられた場所がトロトロと溶けていきそうだ。 「俺、のっ…。俺の…」 ギュッとしがみついた首を引き寄せ、目の前に晒された喉元に噛み付く。 甘噛みしながら舌を出し、ぺロリと舐めて、ククッと鳴ったそこに吸い付く。 「んっ、ンッ…」 「おまえから率先して所有印とは。たまらないな」 「んんっ、あぁぁっ!」 もっ、駄目…。またイっちゃう。 愉悦に揺れた声と同時に、奥の奥まで深々と拓かれ、俺はたまらず2度目の白濁を撒き散らした。 「ッ…」 好き。 そのイキ顔、本当、やばい。 ハッ、と短く息を吐き出して、ふわりとゆるんだ火宮の顔につられてにやける。 その大好きな顔が、ニィッと意地悪な笑みに変わって…。 「お返しだ」 「っ、ん…?」 チクリと痛んだ鎖骨がなんだか幸せ、と感じたところで、留めることのできなくなった意識がスゥッと薄れていった。 『…俺だ』 ふふ、だからそれじゃぁ一時期流行った詐欺の電話だから。 夢の中で通話を始めた火宮に向かってつっこみを入れる。 『…あぁ。名前はユズ。…苗字?分からん』 ふぁぁ。誰と話してるんだろう? 人の夢の中でそんな険しい声、出してないでよ…。 うつらうつらとする夢の波間が心地よくなくなる。 『…ボーイズバーだ。あぁそうだ。うちのシマだな』 へー。金持ちだ、金持ちだとは思っていたけど、島まで所有してるの?この人…。 やっぱりスケールが違いすぎ、と笑っちゃう。 「っ?!…なんだ、寝言か…」 『…いや、こっちの話だ。昼間は、今日行ったジュエリーショップのスタッフだ。あぁ、デザイナーの後ろで見送っていた、見慣れないのが1人いたな…』 キシリとベッドが軋み、火宮の声が遠ざかっていく。 『あれか。…いや、本性はバーの方だろう。…翼か?今は眠ったが…あぁ。あぁ、頼む』 行かないで。 どこへ行くの? 俺のところにいてよ…。 ふらりと無意識に伸ばした手が、真っ暗な虚空に彷徨う。 「刃っ!」 『っ!いや、もう切る。…あぁ、明日でいい』 ぼやぁ、と霞んだ視界に、火宮の顔をみぃーつけた。 「じんー」 良かった。俺のとこにいる。 「翼」 えへへ。 「ったく…。寝ぼけているときは素直に手を伸ばしてくるくせに…」 あぁ、髪に触れる手が気持ちいい。 「もっと俺に寄りかかって甘えろと言っているのにな…」 低く痺れるような魅力的な声も好き。 「おまえは…思っていることを、もっともっと俺にぶつけて言ってこい。困ったことがあったら、1人で抱えずすぐに言え…」 カサリ。 あれー?それ、捨てたはずのクシャクシャの名刺。 ぼやぁ、とぼやける視界の中に、ゴミ箱に放った記憶がある紙が見えた気がする。 それをなんで火宮が持っているのか。 まぁ夢の中ではよくよく不合理なことは起きるけれども。 「なぁ翼。おまえのそれはプライドか?それともおまえの自信のなさか。1人で足掻くおまえを仕方なく見守らされる俺の辛さにも、少しは気づけ。…おまえは俺が、この俺が選んだ唯一の相手なんだぞ」 え? なんかおでこにピンッと弾かれた痛みがしたんだけど。 夢って痛いっけ? 「俺はおまえのためならば、どんなことだってできる…」 愛している…。 微かに痛んだ額にちゅっと、優しく柔らかく触れたものは何。 グシャリ、と握り締められた紙が鳴る。 ねぇ、火宮さん…。俺、愛人とか…何人もの中の1人とか、嫌だよ、嫌だ…。 欲張りでごめんなさい。 でも。 どうしてもやっぱり。 「やだよ…」 「翼…」 ふぅ…、と耳に触れた苦笑に近い吐息は、夢の中の音だっただろうか。

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