203 / 719
第203話※
「クックックッ、おまえは」
「っ、痛っ…」
俺の中心にはリングが嵌められているわけで、大きくしてしまえば、もちろんそこは締め付けられて痛みを与えてくる。
「そんなにそそったか?」
ニヤリ、と笑う火宮は、絶対にその効果を分かっててやってるんだ。
「このどSっ…」
「ふっ、俺は俺の愛情を、行動で示しているだけだろう?」
ん?と目を眇めて、身体を起こす火宮が、本当、憎らしい。
憎らしいのに愛しくて、きっと俺だけ。
こんな火宮は俺だけが見られる、って思っただけで、もうたまらなくて胸が震えた。
「火宮さっ…」
もう、繋がりたい。
愛しいあなたと1つになりたい。
強請るように腰を揺らして、必死で火宮を見上げたら…。
「ククッ、まだまだ」
「っえ…」
背中に手が差し込まれ、ぐるんと身体が返された。
「っあ…」
「足りないだろう?」
「やっ、あぁっ、もっ、あんっ…」
今度は背中。
肩甲骨にキスを落とされ、背骨に沿って舌が滑る。
「やっ、あっ、あんっ…」
もう十分。あなたの愛は十分わかったから…。
まるで俺の身体で触れていないところを無くすかのように、火宮の唇が丁寧にくまなく身体中に触れていく。
「ひゃぁっ、あぁんっ…あッ」
快感に、ますます角度を変えてしまった中心がズキズキ痛んだ。
けれどももう、その痛みも快楽を煽る刺激にしかならない。
「やぁっ、もっ…火宮さっ…」
「ククッ、ここは赤い」
美味そうだって、噛み付くなーっ!
さっきぶたれたお尻にたどり着いた火宮の舌が、ペロッとそこを舐めてから、カプッと甘噛みしてきた。
「んんっ…ふ、はっ…」
「ククッ、イくなよ?」
「はっ、あ…だ、れが…っ」
本当、どS。
「淫乱な翼クン?」
「ひゃぁっ、あぁっ!」
グイッとおもむろに双丘を割り開かれて、露わにされた蕾に空気が触れた。
「やっ、あっ、あぁっ…んッ」
ピチャッと音を立てて、舌が蕾に触れる。
「やぁっ、そんなとこっ…」
舐めないで。汚いっ…。
「ククッ、蕾が震えて、誘っているぞ」
「言、わな…で…」
「ふっ、締まった」
わぁわぁ、その吐息、やばいって。
「あぁんっ…あっ、んっ、あふっ…」
もう駄目。もう助けて。
蕾を出入りする尖らせた舌先が、たまらなく気持ちよくて腰が揺れる。
グイッと腰を持ち上げられ、四つん這いになってお尻を高く突き出しちゃって、恥ずかしいのに気持ちよくて。
「あぁっ、もうっ…もう、火宮さっ…」
「なんだ」
「もっ、やだ…。欲しっ…」
もっと長いので、もっと熱いのでナカを掻き混ぜて。
崩壊し始めた理性の先で思う。
「ククッ、まだ、だ」
「あぁっ、意地悪っ…」
ジュプッ、ジュプッと激しく舌を抜き差しされて、たまらず前がビクビクと震えた。
「やっ、駄目ーっ…」
「ふっ…」
「っあ…」
なんで。
イケたのに。
ギリギリのタイミングで、スッと抜けてしまった舌がもどかしい。
突然の喪失感に、行き場をなくした熱が荒れ狂う。
「ふーっ…」
「やぁぁっ…」
蕾に息を吹きかけられて、ビクビクと腰が震えた。
「ククッ、ヒクついているぞ」
「なっ…だ、って…」
変に刺激する火宮が悪い。
「ククッ、翼。欲しいか?」
ツゥーッ、と今度は指で蕾をなぞった火宮が、ツプッ、と軽く指先を押し込んだ。
「ふぁっ、あぁっ!」
意地悪っ!意地悪、意地悪!
そんな刺激じゃ、もう足りないのが分かってて。わざと焦らすその動きがもどかしい。
「クッ、翼。思った通りに口にしてみろ」
「え…」
「強請れ。今夜は躾直すと言っただろう?」
聞いたけど。
「おまえが、思ったままの要求を、俺に素直に伝える練習だ、ほら、翼」
っ!
ぐるっと身体が再び返され、シュルッとネクタイが解かれる。
自由になった両手は少し痺れていて、軽く振って感覚を取り戻す。
「ん?」
「っ…」
じっと俺を見てくる火宮の目は、意地悪く細められていて。
「っ…」
無理。
そんな恥ずかしいお願い、理性が残っている中で言えるわけがない。
「どうした?翼。俺は、おまえの望みなら何だって叶えてやるぞ」
「っーー!」
ここで言うかな、その台詞。
本当、どSで、本当、意地悪。
「ほら、翼」
「っ…」
言えない。
ブンブン首を振ったら、それはそれは愉しげに、火宮の瞳が揺れた。
「ククッ、まったくおまえはな。本当に、負けず嫌いの意地っ張り」
「だって…」
それが俺。
「だから飽きない。それも好きだ」
「っ!」
「好きだが、翼。今日は仕置きだからな。できないで済ませはしないぞ」
「っ、ぁ…」
だから、何でそんなの持ってるわけ。
「言わなきゃこれだ。当然リングも外してやらない」
あぁどS。
そんなに太いバイブをチラつかせて。
わざとやらしく舌で舐めて見せて。
「いや…」
そう、それを使われるのが嫌だから。
仕方ない、これは仕方がないんだ。
「っ、お、願い…刃」
本当、俺のこと、よく分かってる。
分かっていてそうやって、フォローしてちゃんと導いてくれるんだもんな…。
『敵わない…』
「ん?なんだ、翼」
「っーー!あなたが好きだってことですっ!」
ククッ、なんて笑っている火宮は、こんな逆ギレも愉しいようで。
「だから抱いて下さいっ!」
あぁ、もう、こうなったらヤケだ。
自由になった手で、両足の膝裏を抱えて、思いっきり左右に開いてやった。
「ここにキて下さいっ!刃の…を、ここに、挿れて…熱いので、ナカ、突いて…下さいっ!」
カァァッと熱くなった頬をツンとそっぽに向かせ、噛み付くように叫んでやった。
「ぷっ…ククククッ、喧嘩腰に誘われたのは初めてだ。本当におまえは…」
飽きさせない、の「い」が終わる前に、ガバッとのしかかってきた火宮の顔がアップになる。
その意地悪く笑う表情の中に、愛おしい、愛おしいと語る柔らかな瞳を見つけ、思わずとろりと意地も理性も蕩けてしまう。
「んっ…」
「ククッ、合格だ、翼。おまえの望み、しかと聞いた」
「あっ、あっ…好き。好き、刃。じんー」
足から離した手で、必死に火宮を掻き抱く。
クチュ、チュッ、と交わす深いキスで頭がボーッとしてくる。
「あぁぁっ…好、き…好き、刃…」
ようやく待ち望んだ熱に穿たれ、悦びから涙がポロポロと溢れた。
「愛している。翼」
「んっ、んっ、あぁぁっ…」
「おまえだけをただ1人、一生…」
あぁ、囁くその低い声。
好き。
「明日…。待っていろ、翼。俺はおまえに…」
んっ?
あぁ、心も身体も満たされて、そろそろ色々限界みたい…。
「お、願っ…リング、外し、て…」
イく!
素直に強請った俺に、それはそれは艶やかな火宮の微笑みが視界一杯を満たした。
ともだちにシェアしよう!