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第211話※

「いやっ、いやぁっ…」 身体が熱い。 もっと、もっと。 まだまだ足りない…。 強力じゃないと言っていた気がするのに、一度出したくらいじゃ全然熱が治まらない。 「あぁっ、刃。じんっ、助けっ…」 無機物じゃ足りない。 動いて、擦って、この熱をどうにかして。 「ククッ、翼」 「ふぁっ、じんっ…じんー」 「翼」 ペチペチと頬を叩かれる感覚に、ぼんやりと視界が晴れてきた。 「んぁっ?じんー」 へにゃぁ、と頬が緩んだ。 ふらりと伸ばした手で、火宮の首に抱きつく。 ゆっくりと近づいた顔が、優しい優しいキスをくれた。 「んっ…」 「ふっ、欲求に素直なおまえも可愛い」 「ふぁっ、あんっ…も、ナカ…」 何とかして。 「クッ、欲しいか?」 「欲しっ…」 入れて。突いて。 「反省できたのか」 「した。したっ…ぼ、げん…ごめ、なさ…」 「ククッ、どうせ今だけだろうがな」 ぼんやりとした視界に、意地悪な笑みを見つける。 「も、言わなっ…た、ぶん…」 「クッ、ははっ。多分か。さすが翼だ」 あぅ? 俺、何か変なこと言った? 「じん?」 「ククッ、仕置きだ、このまま突っ込んでやるか?」 「え…」 待って。中にローターが…。 「いっやぁぁあっ…やめっ、許しっ…」 ゾクッとするようなサディスティックな笑みに、思わず叫んだ瞬間。 「ふっ、なんてな。するわけない」 ニヤリ、と不敵に笑った火宮が、ズルッと中からローターを取り出していった。 「ひゃぁっ…じんっ…」 「クッ、またイったか」 「あぁぁっ…」 そんな刺激にも、白濁を飛ばしたことを笑われる。 「翼、最後はゆっくりだ」 ニヤリ、と愉しげに唇の端を吊り上げた火宮が、ズボンの前を寛げたと思ったら、すでに質量のある性器が蕾に押し当てられた。 「あっ、あぁっ、じん。じんっ…」 「クッ、もっていかれそうだ」 ズッと穿たれたナカを、きゅう、 と締め付けてしまう。 息つく間もなく開始された律動に、感じるのはたまらない快感のみ。 「あっ、あぁっ、んぁっ…あンッ」 擦られるナカが、視界に映る火宮の顔が、耳に触れる吐息がすべて、気持ちよくてたまらない。 「あっ、あっ、じん。じん、好き」 「ふっ、おまえは…」 「好き。俺の。これ、俺のー」 ぎゅうっ、としがみついた身体が熱い。 「ククッ、男前ッ」 「ひぁっ、あぁっ!」 ズッ、と一際強く、奥の奥まで穿たれて、思わず身体が仰け反った。 「んぁぁっ、あぁっ、もっ、イっ…」 先がナカの深い場所に触れる。 竿に擦られた内壁が、ゾロリと蠢き火宮を締め付けたのがわかった。 「ッ…イ、け…」 「あっ、い、っしょ、に…」 出して…。 火宮の動きに合わせて腰を突き出し、俺の中心からは快楽の飛沫が飛び散る。 同時にナカでグンッと膨れた火宮が、希望通りに達してくれたのが分かった。 「あ、あ、嬉し、い…」 ふわりと緩むその表情は、俺だけが見られる特権で。 優しく包んでもらえるこの腕の中は特等席。 「刃…。あい、し、て、る…」 そっと額を寄せた火宮の胸元で、トクン、トクンと脈打つ鼓動が、俺の全身に伝わった。

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