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第228話※

「はぁっ、はぁっ…」 「ククッ、どうした」 どうしたじゃないでしょ。 こんなの、俺ばっかり1人で…。 「さすがに懲りたか」 「っ…」 「ん?」 「は、んせ、した…」 もう十分。 言いつけ破って、火宮の知らないところで勝手に他の人とランチしたらどうなるかって。もう嫌ってほど分かったから。 「お願…っ、も、普通に…」 抱いて。 火宮に触れられて、火宮に見つめられて。もう指でイカされるだけじゃ足りないから。 「ククッ、その顔は、そそるな」 「っ…」 どんな顔なのか自分では分からないけど、火宮の目にはギラリと欲望が湧いた。 「ここでか?」 「んっ…」 明るいし。リビングだし。 恥ずかしいけど…寝室まで待てない。 コクンと頷いた俺を見下ろした火宮が、艶やかに微笑んだ。 「あぁっ、ふぁ、っ…んッ」 クチュクチュと後ろを弄る指を増やされ、丁寧に蕾を解される。 「も、いい…。もっ、いいからっ…」 まるで焦らされているみたいな動きがたまらなくて、腰がゆらゆらと勝手に揺れた。 「じんー」 ふらりと伸ばした手で、火宮の身体に抱きつく。 「ふっ、限界か?」 「っ、あんっ、だ、って…」 1度イッてる身体はやけに敏感で、体内を荒れ狂う熱に焦がされてしまいそうだ。 「ククッ、いい顔だ」 だからどんな顔。 ニヤリと笑った火宮の指が一気に抜かれ、硬くて熱い火宮の性器が、待ち望んだ蕾にあてがわれた。 「欲情に濡れた瞳…」 「っ、あぁぁっ!」 十分解された蕾に、一気に欲望が突き立てられた。 「クッ、分かるか?ナカが、絡みついて誘い込んでくる」 「っぁ、言わな…で」 ズッと腰を引かれて、擦られる内壁が、火宮を逃すまいと収縮してしまうのが分かる。 「締め付けて、いかないでと強請っているみたいだ」 「っやぁ…じん。じんっ…」 恥ずかしいのに気持ちよくて。 もっともっとと腰が勝手に揺れる。 「んぁ…っ、熱、い…熱い」 擦られるナカが気持ちいい。 目の前に見える、髪が乱れて少し眉を寄せた姿がたまらなく色っぽい。 その漆黒の瞳には、蕩けてだらしない顔をした俺がいた。 「あぁっ、あんっ、んンッ…アッ」 「翼」 あー、駄目。 その壮絶に色っぽい声、もう反則だから。 俺だけを見つめて、俺だけを呼んで。 真鍋たちとランチしただけなんて些細なことに妬いて、嫉妬であんな意地悪して。 ずるいよ、ずるい。 「そ、んな…め、いっぱい、愛され、たら…」 「翼」 「ひぁっ、あぁっ、あんっンッ…」 いきなり奥を強く突くとか。 優しくないのに気持ちいい。 余裕じゃないんだって分かる火宮の動きがすごく嬉しい。 「も、出…」 強さも激しさも増した律動に、絶頂が目前だ。 「あっ、あぁっ…」 「イけ」 「ひぁぁっ、あぁぁんっ!」 あぁ、このイキ顔…。 「好、き…」 きゅっと眉を寄せて、唇をぐっと引き結んで、ハラリと額に落ちた前髪が色っぽくて。 「刃…」 晒された喉元が、ゆっくりと隠されて…。 「翼」 っ! 蕩けるような、甘い甘い目が、優しく俺を見つめた。 「っーー!」 何だこれ。 目が熱くなって、鼻の奥がツンとして。 「翼?」 「っ、じん。じんっ…」 涙の理由は分からない。 ただただ目の前のこの人が愛おしい。 「翼…愛している」 「おっ…俺っ、も…」 俺も。 愛してる。 ちゃんと言葉にしたいのに、想いが溢れすぎて上手く言えない。 「ふっ…」 う、あぁっ。 ポン、って頭に触れた手が、分かってるって言ったみたいで。 「っ、ふっ、あぁっ…」 泣けて、泣けて。 「し、あわせ、に…なり、ま、しょ…」 嗚咽に途切れる言葉は伝わりますか? 「あ、なた、も…」 俺と。 「ククッ、本当、男前だな」 だって。 あなたは大切な人を喪って。 その責任をずっと背負ってきて。 真鍋さんのことは闇から掬い上げてあげたんでしょ。 俺のことは死から救い上げてくれたよね。 だから、だからあなたにだって。 「男ですもん…」 何も持たない俺の手だけど、あなたを抱き締めることはできます。 幸せにするなんて大それたことは言えないけれど、一緒に幸せになることはきっと…。 ぎゅう、としがみついた火宮の身体が、ふわりと優しく下りてきて。 『俺の幸せはおまえと出会えたことだけで…』 きゅぅん、と切なく震えた胸の中を誤魔化すように、俺は強く強く火宮に抱きついた。

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