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第244話※
「さてと…」
って、えぇっ?
この早業は何!
医者が部屋を出て行ったかと思った瞬間、ぐるんと位置が入れ替わり、気づけばベッドの上に仰向けで倒されていた。
「っな…」
しかも両手首にぐるぐる巻かれ、ベッドベッドに括りつけられたそれは、ナースコールのコード?
「こんな使い方したら…」
壊れるんじゃないか?
そうでなくても間違ってる。
「ククッ、それでは診察を始めようか?」
「は?あ…?」
何なになにっ?!
寝転がった俺の足の上に跨ってきて、白衣をこれ見よがしに羽織って見せて、その台詞。
「っ…バカ火宮」
何がしたいか嫌ってほど分かる。
分かって、したくない。
こんなの嫌なのに。
やばい、白衣姿、格好いい…。
思わず見惚れてしまって、直視してはまずいと目を逸らす。
本当ずるい。
美形は何を着せても様になる。
ヤクザのくせに。
意地悪でどSで、人命を助けるどころか、むしろ正反対の裏社会の人間のくせに。
こんなに白衣が似合うってどういうこと。
「どうした?急に大人しくなって。まぁいい。まずは胸の音でも聞いてみるか」
「っ、ちょっ…」
「翼は口より身体に聞いたほうが早そうだからな」
「なっ…」
ガバッと上着を捲り上げられ、聴診器を耳に入れた火宮がニヤリと笑った。
「ひっ、冷たっ…」
「ククッ、心拍数が高いぞ」
「っ…」
う、うるさい。
別に火宮の医者コスプレに、ドキドキしているわけじゃないからね!
「んっ?ほら、翼。隠し事は何なんだ?」
「っあ!やっ…んンッ」
ピト、ペト、と肌の上を移動する聴診器が、冷たくてくすぐったくて、身体が捩れる。
「ククッ、このまま問診だ。ほら翼、何をやらかしたか白状しろ」
「あっ、言う、言うから…あぁっ!」
このバカ火宮ぁぁぁっ。
故意かたまたまか、不意に胸の飾りを掠めた聴診器の先に、自白の言葉は嬌声に変わった。
「どうした?腰が跳ねたぞ」
「っや、あぁっ…」
分かっているくせに。
どうしたじゃない。
「ククッ、ますます鼓動が早くなった」
「っ…んんっ、あぁっ…ひぅっ」
ニヤリと笑ったこのどSを誰かどうにかして。
右胸の突起をスッと掠めたと思ったら、今度は左胸に移動して、ぎゅっと押し付けられた聴診器の丸い部分が、こねこねと乳首を押し潰してくる。
「んんっ…あぁっ、あんっ…」
もう白状するどころじゃない。
冷たかった聴診器も温まり、そうなると今度はいつもと違った愛撫の感触に、ゾワゾワと這い上がるのは快感だ。
「ほら翼、何の悪さをしたんだ?」
「あっ、あんっ…だ、から…っ、浜っ…」
やだ。そこばっかりそんなにグリグリしないで。
無機物に擦られる乳首がジンジンして、敏感になったそこの熱さがまた快感に変わるからたまらない。
「浜?」
「浜崎、さっ…を、あぁっ!」
ぬるって!
ぬるって何。
聴診器で油断していたら、いきなり反対の胸に舌を這わされ、またまた自白は悲鳴に呑まれた。
「ククッ、こんなにぷっくりと赤く腫れて」
病気かな、って…。
「バカっ…違っ、やぁぁっ…」
もう本当、何してるの。
聴診器と唇が離れてホッとしたのも束の間、今度は両手できゅっと摘まれ、たまらず腰がビクビクと跳ねた。
「ククッ、なんだ?こちらも膨れて。悪い病気か?」
ニヤリと笑ったその顔が憎らしい。
スルッと滑った火宮の手が、ズボンと下着をずり下ろす。
「っ、あぁ…やぁぁっ」
緩く勃ち上がっていた性器を晒され、恥ずかしさに悶える。
「ククッ、ここは大事なところだから、しっかり診察しないとな」
「なっ…」
意地悪く目を細めて、不意にベッドの横に手を伸ばした火宮が、小さな箱から医療用の手袋を取り出した。
「やっ…」
パチン、と音を立てて、火宮の手に手袋がはめられる。
その手が俺の性器に伸びてきて、きゅっとそこを掴まれた。
「んんっ…あっ…」
違う。なんか違う。
火宮の手なのに、馴染んだ温もりの間を手袋に邪魔される。
いつもと違う感覚に、けれど身体はいつも以上に変に感じてしまい…。
「ククッ、なんかぬるぬるしたものが溢れてきたぞ。病気か?んっ?翼」
「ばっ…」
バカ火宮。
もうその診察の振りをやめて。
「ふっ、腰を振って。こっちも寂しいか」
「あぁっ、ふぁっ…」
スッと両足を持ち上げられたと思ったら、割り開かれた足の間から、フゥッ、と蕾に息が吹きかけられた。
「あぁんっ…」
「ククッ、直腸診というのを知っているか?」
なにそれ。知らないけど、嫌な予感だけはヒシヒシとする。
ブンブンと首を振った俺から、火宮のサディスティックに歪んだ表情が見えた。
「っ、あぁっ!」
「クッ、ここにこうして指を入れて、前立腺やポリープの有無を直に触って調べる検査だ」
「ひぁっ、あっ、あんっ…」
説明しながら、本当に指を挿入され、前立腺に触られたからたまらない。
「あっ、あぁっ、イく…イっちゃ…」
クイクイとナカで指を動かされ、俺はたまらず白濁を吹き上げる…寸前で、火宮の指がピタリと止まった。
「あっ、あっ、なん…で、やだ、やめないで…」
イけたのに。
こんな寸止め酷すぎる。
「ククッ、これはおまえを悦ばせるためにしているんじゃないぞ」
「あぁっ、やっ、あんっ…い、じわる…」
ニヤリと笑っている火宮が本当に憎らしい。
「悪さを白状するまではイかせない」
「あんっ…だ、から、言うって…」
「ククッ、ならば早く言えばいいだろう?」
「あんっ、だ、って…」
こっちはとっくに自白するつもりなのに。
散々邪魔をしてくれているのは誰だ。
本当、何様俺様火宮様、ついでにどS様。
「ククッ、身体は素直だ」
さすが淫乱、って。
だから俺はMじゃないってば。
「ほら、前ももうこんなになって」
「あぁっ、動かさな…で…」
イキたいのにイけない快感で頭がおかしくなりそうだ。
「さぁ、何をやらかしたんだ?翼」
「っ、あっ、浜崎さんにっ…包丁っ…突きつけ…」
「ほぉ?」
「人質…っ…て、脅し…真鍋さ…って、病院に…」
わざと前立腺を外したところばかりをクチュクチュと擦られて、俺は息も絶え絶えに悪事を暴露した。
「なるほどな」
「っ…」
「翼に人質に取られるなど、浜崎が間抜けだが。おまえも、刃物でうちの構成員を脅しただ?」
うっ…。その通りだけど…。
「ヤクザにそんな真似をしたらどうなるか、たっぷり教えてやる」
「っ、だって…」
「それに浜崎は訓練を受けた手練れだ。万が一、反射的に反撃されていたら、おまえ、怪我じゃ済まなかったぞ」
危険なことをして…と怒っている火宮の声には、心配も滲んでいて…。
「っ、ごめんなさい…」
思わず謝罪を口にしたら、火宮がしてやったりと言わんばかりに、ニヤリと頬を持ち上げた。
「2度とそんな危ない真似をしないように、ここからは仕置きだな」
「っ…」
クチュッとナカの指を動かされ、ようやく求めていた絶頂を与えられた。
「んっ、あぁぁっ!」
けれどもそれは、これから始まる仕置きの始まりの合図に他ならなくて…。
「もっ…」
これだけでも十分お仕置きされている気分なのに…。
達した余韻でボーッとした頭に、コンコン、と再びノックの音が聞こえ、悪魔の使いが戻ってきたのが見えた。
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