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第248話※
「っーー!刃っ!」
気づけば俺は、火宮の胸にドンッ、と飛び込んでいた。
「刃っ!」
火宮の温もりが身体に触れる。
「俺っ、俺、怖かった!」
「翼…」
「本当は本当は怖かった。刃が死んじゃったらどうしようって。目を覚まさなかったらどうしようって…」
それまで溜めていた弱音が一気に溢れて、目からは大粒の涙がポロポロとこぼれた。
「刃の姿を見た瞬間、足元の床がなくなったみたいにわけがわからなくなって、俺はどこにいるんだろうって。何をしているんだろうって」
「翼」
「刃がいなかったら俺…俺っ…」
光なのは火宮の方だ。
必要なのは俺の方だ。
「俺っ…だ、いて、下さい…」
「翼?」
「抱いて下さい。俺っ…」
「翼」
「愛してます。俺っ…。あなたが本当に帰ってきたことを、あなたがここにいることを、俺にちゃんと確かめさせて」
「ッ…」
「あなたの熱を、俺にいっぱい注いで下さい」
にっ、と笑った顔を火宮に向けて、俺は伸び上がってキスをした。
「お仕置きはもう、終わりですよね?」
悪戯っぽく上目遣いをした瞬間、ガバッと火宮がのし掛かってきて、背中がトスッとベッドに落ちた。
「まったくおまえは……最高だ」
「んっ、あっ、やだっ、白衣…」
「なんだ」
「白衣脱いで…」
似合うけど、格好いいけど、やっぱり火宮じゃない気がして。
「あぁ、ククッ、コスプレは嫌いか?」
それにしては感じまくっていたようだが、って…。
「バカ…」
そりゃ、中身が火宮なら、俺はどんな姿だって感じちゃうけど。
「ククッ、ここはすでにトロトロだしな」
「っ、あっ、やっ…」
バサリと白衣を脱ぎ捨てた火宮が、ニヤリと意地悪な笑みを浮かべる。
ツン、と触られた蕾から、注がれたローションがトロリと溢れてしまった。
「ふっ、誘っているのか」
「あっ、やっ、違っ…」
もう、さっきの雰囲気からすでに一気に意地悪モード全開って、本当にブレないよね…。
「んっ?ほら、トロトロと中から溢れてくるぞ。どうする?」
「あっ、あっ、い、れてっ…刃っ、じん、欲しっ…」
あぁ、どS。
自分だってしっかり硬くなっているくせに、こうして焦らして言わせるんだもんな…。
それでもいいや。だって好き。
「じんー」
「ククッ、いい、ぞッ」
「あぁぁっ!ん、あンッ…」
そんな一気に。
言うが早いか、言葉と同時にズンッと強く穿たれて、ビクビクと身体が震えた。
「クッ、締めるな…持っていかれる」
「あっ、あっ、だって…じん、じんっ」
「ッふ、翼」
ローションのせいで、グチュッ、とか、ズチュッとか上がる水音が恥ずかしい。
だけどそれも快感を煽る要素で。
「あんっ、あぁっ、そ、んな、奥っ…」
「クッ、また締まったぞ」
「あっ、あっ、だ、って…気持ちい…」
もう何を口走っているのか分からない。
ズンズンと奥を突かれ、ナカの粘膜を激しく擦られ、気持ちよくてたまらなくて、頭がジーンと痺れてくる。
「あっ、あっそこ…そこやぁっ」
「いや、じゃなくて、いい、んだろう?ほら」
「あぁっ、だめ、だめ、イッちゃう…」
わざと浅く抽送を始めた火宮が擦るのは前立腺だ。
「やだ、だめ、もっと…」
「ククッ、どっちだ、それは」
「あっ、いっ…じんっ、イく…」
火宮の激しい腰使いに、頭も身体も絶頂に上り詰めて…。
あぁ、愛おしい。
この熱、この感触。
「じん、じんーっ」
ぎゅぅ、と目の前の火宮に強くしがみつきながら、俺は派手に白濁を飛ばした。
「クッ、翼…」
思いっきり果てながら、ぎゅう、と無意識に締め付けてしまったナカで、火宮のモノもドクッと震えた。
あぁ、そのイキ顔…。
「刃だぁ…」
取り戻した。
帰ってきた。
抱き締める腕の強さと、奥に感じる温もりが嬉しくて、温かい涙がポロリと目から滑り落ちた。
翌日。
結局その晩、やっぱりというかなんというか、火宮がしっかり熱を出してしまって。
俺たち2人が、医者と真鍋からこんこんと説教を食らったのは言うまでもない。
けれどその間中、火宮はずっと愉しげにニヤニヤと笑っていて、反省の欠片もないその態度に、真鍋がますますブリザードを吹き荒らしたことも、もちろん言うまでもない。
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