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第263話※
「んっ…あっ、やめっ…」
はぁはぁと上がる息が苦しい。
カッカと熱くなる頬は、きっと赤く火照っているだろう。
無事、酒を運んできた俺は、酌をしろという火宮の命令に従い、ソファに並んで座っていた。
だけど火宮が俺を隣に置いて大人しくしているわけもなく、さっきから受けまくるセクハラ行為に翻弄されているところだ。
「ククッ、どうした?翼」
「っ、んっ、それやぁっ…」
スルッと脇腹を撫でた手が、エプロンの脇から進入して胸の飾りを摘む。
キュッキュッと指の腹でそこを擦られれば、堪らず腰が揺れた。
「あっ、んんっ…んぁッ」
「ククッ、こんなに隙だらけの格好をして。襲ってくれということだろう?」
「なっ、んンッ…あなたが、さ、せたっ…」
鞭で脅して無理矢理させたくせにー!
「ふっ、こちらも、隙あり」
「ひゃっ、あぁぁっ、冷たッ…」
コトン、とグラスを置いた右手が、反対側の脇腹をスゥッと撫でた。
グラスで冷えた手が、熱を持った身体に酷く冷たい。
思わず鳥肌を立てて飛び上がったら、火宮のとても楽しそうな笑い声が聞こえた。
「ククッ、いい声を出す」
「あぁっ、ばか…」
「ふっ、翼、思い知ったか?」
「な、にが…」
ニヤリと笑うその顔がすごく悪い。
「こんな風に隙を見せた格好をしたら、どういう目にあうか。おまえはもう少し、自分の色気を自覚しろ」
「っ、色気って…」
そんなの俺にあるわけないし。
「そもそもこんな格好っ…」
隙もなにも、火宮に強要されなければ、一体いつする機会があるというのか。
「クッ、制服を着崩すのも似たようなものだということだ」
「はぁっ?」
全然違うでしょ…。
どういうレベルでものを見ているわけ?
「押し倒されたくせに分かっていないか?」
「だからそれはっ、豊峰くんに色っぽい意味なんて全くなくてっ…」
馬鹿なの、この人…。
「ふっ、喧嘩のつもりで乗り上げても、おまえの色香が誘ったらどうなることか」
「ないないない。そもそも豊峰くんは男で…」
普通に考えたら、男が男をそういう意味では襲わないから!
「ふんっ、他の男の名など口にするな」
「っ、んンッ…」
クチュッと口の中に差し込まれた指に、舌が捕まった。
火宮が言わせたようなもののくせに…。
「ンッ、はっ、あっ、あぁっ…」
中で指を掻き回され、閉じ切れない口の端から唾液が溢れる。
「んぁっ…あっ、やぁ…」
タラーッと顎に伝った唾液の感触が嫌で、俺はフルフルと首を振った。
「クックックッ、なんだその目は」
「っ…?」
どんな目?
「物欲しそうに、欲情した目」
「っ!そんなことっ…」
ない、と言いかけた声は、エプロンの上からソッと中心に触れられ、ギクリと途絶えた。
「ではこれは何だ」
「っ…それはっ」
い、いつの間に…。
火宮の指摘に視線を落とせば、すっかり角度を変えて、エプロンの布を押し上げている熱の存在が見えた。
「いやっ…」
恥ずかしい…。
嫌々こんな格好をさせられ、それを見られ、少々悪戯されたくらいで、しっかり感じてしまっているなんて。
火宮にそれを知られ、ますます硬くなってしまう性器を感じて泣きそうになった。
「ククッ、翼には仕置きにならなかったか?」
悦んでいる、と笑われ、必死で首を左右に振る。
「どM。淫乱」
「っ、違っ…」
否定の声は情けなく震えた。
「ふっ、可愛いぞ」
「んっ…」
耳にコソッと息が吹き込まれ、ゾクゾクッと鳥肌が立つ。
それは紛れもない快感で、ますます中心がエプロンを押し上げた。
「だがまだ仕置きだ。こんなものじゃ終わらないぞ」
ニヤリと笑った火宮の顔は、ゾクリとするような色気があって。
「あっ、はっ…ひ、みや、さっ…」
「ククッ、疼いているのは、ここか」
グイッと腕を引かれ、火宮の膝の上に倒れ込んだ身体のせいで尻が浮いた。
「じわりじわりと堕としてやる」
「っ!な、に、入れっ…」
唾液に濡れた指が、蕾にいきなり潜り込んできたのは分かった。
すぐに抜かれていったそれだけど、ナカに何かを残していった感触がある。
「ククッ、安心しろ。効力は弱く、副作用もない」
「ま、さか、媚薬…?」
前にも1度、カプセルタイプの遅効性の媚薬を後ろに入れられたことがある。
「クッ、4、5分でおまえの身体が答えを教えてくれる」
「っ…」
このどS。
その5分間ずっと、俺はナカに入れられたモノの効力に怯えることになるのか。
「ククッ、仕置きだからな。下剤かもしれないぞ?」
「っーー!」
まさか、とか、いやでもさすがに、とか。
でも火宮なら…とか、頭の中が混乱を始める。
「それとも偽薬かもな」
この人はっ!
絶望に突き落としてみたり、希望を持たせてみたり。
完全に俺の反応を愉しんでいる。
「ククッ、俺に隠し事をしようとした罰だ。せいぜい隠される薬の効力に、怯えているがいい」
目には目をって?
「っ…ほんと、意地、悪っ…」
火宮に隠し事をしようなどと目論んだら、こういう目に遭うのか。
学習と後悔が身に染みる。
「っ…」
そこからの5分は、俺には何時間にも感じられるほど長く、辛かった。
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