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第264話※
「っ!」
ドクンッ、と鼓動が大きく跳ねた。
じわぁ、とエプロンの布に染みを滲ませたのは、性器の先端から溢れた先走りで。
「い、やっ…」
意志の外でカァァッと熱くなっていく身体が、薬が効いてきたことを教えてくれた。
「はっ、やっ…あ、こんなっ…」
半ば強制的に湧き上がる快感に、息が上がる。
「や、っぱり、媚薬っ…」
きゅぅん、と切なく、後ろが疼いた。
「ククッ、翼」
「あっ、ふはっ、あぁっ…」
ズクンと腰にくるその低音はやばい。
すでに熱くなった身体に、さらに熱が渦巻く。
「あぁんっ、ひ、みや、さ…ん」
この高まった身体の熱をどうにかして。
スリスリと火宮にすり寄った身体に、クックッという癖のある笑い声が伝わった。
「翼、これが仕置きだと忘れていないか?」
「っ、あ、んっ…」
「簡単に楽になれると思うなよ」
「っ…お、にっ!」
こんなに熱いのに。
ムカッとなって、思わず足をバタバタさせたら、ガチャンッ、とテーブルの上にあったグラスを倒してしまった。
「っあ…」
やばっ…。
慌ててグラスを起こしたけれど、時すでに遅く。
カラーンと落ちた氷と、ポタポタと垂れていく飲み残しの酒がフローリングの床を汚した。
「やったな」
ニヤリと笑った火宮の、妖しく光る目が俺を見る。
「っ…」
あぁこれ、自爆スイッチ押しちゃったやつだ、と熱に浮かされた頭の奥でやけに冷静に思う。
「ちょうどいい。拭くものを取ってきて、これを綺麗に掃除しろ」
楽しい悪戯を思いついた無邪気なこどものように、火宮が鮮やかな笑みを浮かべる。
けれどもその頭の中身は、きっと邪気だらけだ。
分かっているのに、今の俺に逆らう資格はなくて、俺はノロノロとソファから下りて、キッチンに拭くものを取りに向かった。
「っ、ふ、ぁっ…あぁっ、はぁっ…」
やばい、何これ。
1歩足を進めるごとに、エプロンが擦れる肌がゾワゾワと快感に波打つ。
新品の、まだ糊のきいた布地のゴワゴワ感さえも、薬で高めらて敏感になった肌には気持ちよくてたまらない。
「い、やぁっ、うっ…ふっ、あぁンッ」
まだ数歩も行かないうちに、膝がガクガクと震えて、力の抜けた足が崩れた。
「ククッ、どうした翼。まだキッチンは先だぞ?」
「っ、分かって、ます…」
どS火宮っ!
俺がどんな状態にあるのかしっかり分かっていて急かしてくるその意地の悪さに泣けてくる。
「ほら」
床に四つん這い状態になってしまっていたお尻を、ツン、と鞭の先でつつかれて、俺は慌ててガバッと床から立ち上がった。
「あっ…」
ふらぁっと足がもつれてしまう。
けれどここでまた転んだら火宮の思う壺だ。
俺は力の入らない身体に気合いを込めて、必死でキッチンまで歩いて行った。
「はぁっ、はぁっ、あぁんっ…」
乱れる息と、勝手に上がる嬌声が口からもれる。
それでもなんとかキッチンにたどり着いて布巾を手にした俺は、また何十メートルにも感じる長い道のりを、ふらふらとリビングまで戻った。
「遅かったな」
たった数メートルだろうに、と笑う火宮の声が愉悦に揺れている。
「っ、鬼…」
「ククッ、まぁいい。次は掃除だ」
「っ、は、い…」
ほら、と俺が汚した床を示され、俺は渋々そこに跪いた。
「っ…ん、あぁっ…」
屈んだ動きでまた、擦れた布が肌を刺激する。
中心を擦った布の感触に、たまらず身体が跳ねた。
「クッ、ほら、悶えていないで、掃除をしろ」
「っ、あんっ…は、い…」
床を拭こうと四つん這いになったせいで、後ろに突き出た丸出しのお尻に、ピシッと鞭が振られた。
「ひゃっ、あぁんっ…やぁっ」
「ククッ、嫌、という割にはここは」
ソファの上で偉そうに足を組み、伸ばしてきた鞭の先で、ピラリとエプロンの前をめくり上げる。
「ふっ、あぁっ…あっ」
「ククッ、余計に床を汚しているぞ」
きりがないな、と笑う火宮の声が、意地悪く揺れる。
「っ、言、わな、で…」
性器の先端から溢れた先走りが、パタパタと粘つく雫を床に落とす。
「ほら」
「っ、や…」
また1つ、揶揄うようにお尻に鞭が与えられた。
ピリッとするような微かな痛みが、ジーンと痺れるような快感に変わっていく。
グンと力を増した中心から、またも雫がパタパタと落ちた。
「クックックッ、拭いていく側から…悪いやつだ」
ピシリ、とまた鞭が振るわれ、ゾクッと身体が愉悦に震えた。
「やめっ…もっ、許し…」
お尻をぶたれて痛いはずなのに、薬のせいで気持ちいいのが屈辱だ。
このままじゃ堕ちる…と、俺は急いで掃除を終わらせようとした。
そのとき。
「っ、あァッ!」
スゥッ、と双丘の割れ目をなぞった鞭の先が、蕾をツンとつついた。
「やめっ…」
ここでその刺激はやばい。
ゾクゾクッと這い上がった快感が、身体の中を荒れ狂う。
イキたい…。イキたい。
頭の中が1つの欲求だけに満たされ、掃除どころじゃなくなった身体がたまらず身悶える。
「ククッ、ほら、手が止まっているぞ」
「っーー!」
ここぞ、とばかりに、咎めるようにヒュッと振られた鞭が、ピシリとお尻に落ちた。
「あっ、あぁぁっ!あぁーっ…」
ビクンッと身体が震え、俺は打たれた刺激でイッてしまった。
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