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第265話※

「クッ、また汚したな」 床に飛び散った白濁を揶揄う声が、呆然とする俺の上から降ってきた。 「っ、ふっ…」 ジワリと滲んだ涙が視界を歪める。 「ククッ、そんなによかったか」 鞭が、って…。 「違っ…こ、んなの…」 薬のせいだ。 汚してしまった新品のエプロンと床が視界に入るのが嫌で、俺はフイッと顔を背けた。 「ふっ、その表情、そそるぞ」 「なっ、なっ、なっ…」 フゥッ、と耳に息を吹きかけて、なんて色っぽい声を出すんだ。 あまりに艶やかなその声に、ゾクゾクッと快感が駆け上がる。 「屈辱でたまらないという表情。俺が堕とした。この手で堕とした。たまらないな」 チラッと覗いた火宮の赤い舌が、ドクンッと性器に血液を集めた。 「ふっ、弱い薬だったはずだが、元気だな」 ツン、と鞭の先が触れたのは、また勃ち上がってしまった性器で。 「だ、って…あぁっ!」 そんな風な全力の支配欲。 「俺のものだ。俺だけに見せろ」 どんなに恥ずかしい姿も、屈辱に歪む顔も。 それでもなお快楽に蕩けてしまう、貪欲で浅ましい俺の姿も。 「っ、ば、かぁ…」 そんな全力の独占欲。 狂おしいほどに真っ直ぐ向けられ、嬉しくないわけがない。 「抱、いて…。抱いて、刃」 くしゃりと握り締めた布巾が手の中で丸まる。 欲情に震える身体をきゅっと自分で抱きしめて、俺はソファの上で笑う火宮を見上げた。 「あなたにだけ、だから…」 どんな仕打ちを受けたって、ただ好きなんだ。 どんな姿を晒してもいいと思えるのは、それを受け止め、愛おしいと笑う火宮だから。 「は、んせ、した、からっ…もっ、お仕置き…終わっ…」 熱い。身体が熱い。 ナカに火宮の熱が欲しい。 「ククッ、なんていう顔をしてみせる」 「っ…」 ゾクリとするような欲情の光を宿したのは、火宮の目の方だ。 ぶわっと湧いた壮絶な色香が、むせ返るような芳香を放って俺を包み込む。 「好き。好き、刃」 ナカにちょうだい。 この熱くて硬いあなたの欲を。 「好きっ。もっ、我慢、できなっ…」 身体が熱くて、奥が疼いて。 1秒たりとも待てないから。 「じんー」 やけに舌ったらずな呼び声になってしまった。 「ククッ、半分飛んでるか?」 「んっ、あぁっ、じん…」 クイッと捕らえられた顎が、それだけでゾクゾクと全身を震わせて、綺麗な美貌が間近に迫れば、それだけでうっとりと瞼が落ちていく。 「んっ、あっ、はっ…」 ベロリと舐められた歯の裏に、ゾクゾクッと快感が湧く。 必死で舌を絡ませれば、ご褒美と言わんばかりに荒く激しく舌を吸われ、快楽に腰が砕ける。 「ククッ、立てるか?」 「っ…な、ぁぁ…」 キスですっかり脱力した俺を、強引に引き上げる腕に従う。 「こっちだ。ソファの背もたれに手をつけ」 「んっ、あぁっ、こんな…」 スッとソファから立ち上がり、場所を入れ替わった火宮が俺の背後に立つ。 「ククッ、このまま抱く」 「っ!バカ…」 せっかく着けたからな、奥さん、って。 耳元で囁くあまりの台詞に目眩がしてくる。 「たまらなくそそるぞ」 「っーー!」 こんな、裸エプロンのまま。 後ろに突き出たお尻に、いわゆる立ちバックってやつで。 ジジーッとズボンのチャックが下される音が聞こえたかと思ったら、慣らしもしていない後ろにズブッと火宮の熱が突き立てられた。 「あぁーっ!」 「クッ、さすがにキツい。ほら、翼」 「あぁんっ、あんっ、あっ」 スルリと回ってきた大きな手が、宥めるように性器を包み込む。 優しくやわやわと揉みしだかれれば、挿入の衝撃で強張った身体から、呆気なく力が抜けていった。 「ふぁっ、あぁっ、あんッ」 一応ローションは塗りつけてあったのか。 力さえ抜けば、ヌルヌルと滑るように出入りする火宮の熱が気持ちいい。 「あっ、あっ、そこ、やぁっ」 「ククッ、いい、んだろう?おまえの好きな前立腺だ」 「ふぁっ、やぁっ、イッちゃう。もうイッちゃう!」 薬、まだ効いてるから! 「ククッ、イけばいい。何度でもイかせてやる」 「ひ、あぁぁーっ!」 ピュッと飛んだ白濁が、エプロンの前にかかってタラリとソファに落ちた。 「っ、あっ、あっ、イッてる、のに…」 「クッ、まだまだ」 「ひぁっ、あぁっ…」 果てても終わらず、ナカをガンガンと突かれる。 すぐまた元気を取り戻してしまう中心を笑われながらも、グチュグチュ擦られる内壁に、貪欲に腰が揺れる。 「あっ、あっ、刃。じんっ…」 背もたれに着いた手がガクッとくじけて、ますますお尻を突き出してしまう格好になった。 「あっ、はっ、じんーっ」 またクる。 「イッ…」 「クッ、はっ、締まるッ…」 パンッ、と一際強く奥を突かれ、目の前が白く眩んだ。 「あっ、す、き。だい、す、き…」 「ふっ、愛している、翼」 繋がったまま、ぐるんと返された身体を抱きしめられ、熱く優しいキスに包まれた。

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