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第331話※

はうぁっ、あっ、あぁぁっ…。 嬌声は上がらないけれど。 もうたまらなく気持ちがいい。 あぁやばい。 火宮の舌が触っている。 火宮の口の中に入っている。 そう感じるだけで、トロトロと先走りが溢れ、腰が勝手に浮いてしまう。 「クッ…」 愉しげに喉を鳴らした火宮の舌が、ますます激しく中心を追い立ててきて、目の前がチカチカした。 あっ、あぁっ、だめ。離して、もう出ちゃう…。 くしゃっと掴んだ髪を引っ張れば、咎めるように火宮の口が窄められた。 っ! だから、駄目だって言ったのに。 いや、言えてないけど、でも…。 「ククッ、たっぷり出たな」 ニヤリと笑って顔を上げた火宮の唇が、俺の出したものでヌラヌラと光っているのがいやらしい。 バカ火宮っ…。 暴言も声にはならないけれど、キッと睨みを向けてやる。 「ククッ、なんだその目は。誘っているのか」 はぁっ?なんでそうなる。 ペロリと赤い舌を覗かせた火宮が、ギラリとサディスティックな光を瞳に宿らせた。 っ…や! グイッと両足を持ち上げられて、お尻が思い切り持ち上がる。 やだっ、恥ずかし…。 身体を2つ折にするみたいにされて、お尻が天井を向いた。 「手形も赤みも残ってはいないが…」 ジッと注がれる視線を双丘に感じる。 「ぶたれたって?ならばここも上書きだな」 スルッとお尻を撫でられて、ビクッと身体が跳ねた。 まさか真鍋さん、それも全部報告したの? 「覚悟しろよ」 ひっ…。 足の向こうに、火宮が振りかぶった平手が見えて、俺は衝撃を覚悟してぎゅっと固く目を閉じた。 チュッ。 え…? 恐る恐る目を開ける。 お尻に落とされたのは、覚悟したような痛みではなく、柔らかくて優しい、火宮の口づけ? 「ククッ、なんだ、呆けた顔をして」 ニヤリと弧を描いた火宮の口元が、意地悪く歪んで。 っ!この人はっ…。 愉悦に揺れた表情が、勝ち誇ったように俺に向けられていた。 確信犯…。意地悪!どSッ。 まんまとしてやられて悔しいのに、火宮があまりに火宮だから、なんだかそれが嬉しくて。 「ククッ、今日はよく泣く」 ツゥーッと目の端からこめかみに伝った水滴を笑われた。 「最後はここだ、翼」 持ち上げられたままのお尻の間、蕾をツンとつつかれて、さすがにぶるっと身体が震えた。 「傷は浅いと医者は言っていたが。痛かったら言え」 気遣うようにフッと笑って、火宮の顔が視界から消える。 っ! 微かな吐息を尻に感じた次の瞬間には、ぐい、と割り開かれた双丘の間に、ペロッと温かい舌の感触がしていた。 ちょっ、そんなとこっ…。 蕾を火宮が舐めている。 ゾクゾクと倒錯的な快感が湧き上がる。 クチュッ、チュプッと恥ずかしい水音が響き、俺はたまらず腰を揺らしてしまった。 あっ、入っ…。 下手な身動きをしたせいで、火宮の舌がツプッとナカに潜り込んでしまった。 あぁっ…。 わざと固く尖らせた舌先が、ヌプヌプと奥に進められた。 あっ、いや、やだぁ…。 声が出ない代わりにフルフルと首を振り、くしゃりとシーツを握り締める。 いつの間にか両足を大きく開いてそれぞれの手で持たれ、火宮の黒髪が股の間でサラリと揺れていた。 あっ、はぅっ…。 視覚で得たその光景がまたたまらない。 背徳的な快感が、ズクンッと下腹部を熱くした。 「クッ…」 むくりと勃ち上がった性器に気づいたのか。 火宮の笑い声が聞こえ、吐息が尻にかかった。 あっ、あぁっ、気持ちいい…。 痛みはもちろん、先輩に入れられた指の感触なんてすっかり忘れてしまった。 火宮の舌の感触が、その行為のインパクトが強すぎて、もうこの感覚しか頭に残らない。 「ククッ、翼。入れるぞ」 いつしか舌が離れ、気づけば火宮の指が蕾の入り口に添えられていた。 ん…。 コクンと頷いた俺の頭を見て、火宮の指がズッと進む。 あぁ、火宮さんの指。 やっぱり先輩のとは違う。 馴染んだこれだけを、俺の身体は覚えている。 「大丈夫だな」 ふぅ、と一息ついた火宮が安心したように笑って、俺はものすごく大切に、泣けるほど大事にされてるんだって実感した。 ーー刃っ…。 指、増やして大丈夫だよ。 ううん、もう、火宮さんを挿れて欲しい。 強請るようにぐいっと腰を突き出して、自分で両足の膝裏を抱えて。俺は、俺の中で1番最高だって言える、目一杯の笑顔を浮かべた。

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