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第367話

「っ…」 「ここなら人も来ないだろう。ククッ、翼、手を壁につけ。離すなよ?」 ぐいっと引かれた手が、ペタリと校舎の壁に触れる。 「ひ、みや、さん…」 壁に向かって立たされた顔を振り向かせかけた俺は、スルリと後ろからズボンの中に入り込んで来た手に、ギクリと固まった。 「なにっ?」 「シーッ、黙っていろ」 騒ぐと人が来るぞ、と耳元で囁く火宮だけど。 は? 「あっ、あ、や、んンッ…」 何するんだ、バカ火宮! ズボンのウエストから入り込んで来た手が、ぐいっと尻の割れ目を開き、その指が、ヌルッとした感触と共に蕾にツプンと差し込まれた。 「やっ、なにっ?ちょっ、火宮さんっ?」 こんなところで、こんなこと。 「解してやっているんだ。痛いのは可哀想だからな」 「えっ?は?やっ、やだっ…」 ほぐすって?痛いって?一体お仕置きって、何をする気だ…。 「ククッ、まぁこのくらいでいいか」 グリグリと、蕾を押し広げた火宮の指がズルッと抜けていき、ホッと息をついた俺の目の前に、プランと紐がついた、小さな卵型の玩具が揺れた。 「え…」 これはまさか。 「なんでそんなの持って…」 体育祭に来るのに、そんな用意があるわけないのに…。 「あっ、真鍋さん」 そういえばさっき、弁当のついでに、何か小さな紙袋の受け渡しをしていた。 「ククッ、電話1本で、優秀なことだ」 「っーー!」 ばか真鍋っ!そんな有能さ、いらないっ。 内心で悪態をついたところで、そんなどう考えてもおかしな命令に、異も唱えずすんなり従う火宮絶対の真鍋に届くはずもなく。 そうこしているうちに、ふと視界からそのローターが消えていく。 「入れるぞ」 「っなーー」 ギクリ、となったときにはもうすでに、再びハーフパンツの中に入ってきた火宮の手がお尻の割れ目に触れていた。 「っあー!やだっ、やだ」 必死で身を捩って抵抗するのも虚しく、ツン、と冷たい無機物が一瞬、蕾に触れて。ぐっ、と力を込めた火宮の手で、ローターがナカに押し込まれていた。 「あっ、はぅ、うぁぁ」 「クッ、簡単に飲み込んで」 愉悦に揺れた火宮の声が聞こえ、ローターを入れた火宮の手はあっさりと離れていく。 「あっ、そんな。やっ、取って…」 壁に縋りつく身体が、体内に入れられた異物への不快感で震える。 「火宮さんっ…」 必死の叫びは、火宮の意地悪な笑い声に切り捨てられた。 「ククッ、駄目に決まっているだろう?仕置きだ。俺がいいと言うまで、勝手に出すなよ?」 「っ、そんな…」 つまりは昼も、午後の部も、こんなモノをナカに仕込まれたままでいろと? 「っーー!無理っ!」 違和感も不快感もマックスなのに。 「ククッ、無理だろうと、我慢しろ。仕置きなんだから。さて、戻るか」 腹が減ったな、と、何事もなかったように手を差し出してくる火宮だけれど。 「っ、このどSッ!意地悪!バカ火宮ぁぁっ!」 思わず迸った暴言は、火宮の妖しい笑みに、ギクリと止まった。 「これが見えるか?」 まるで黄門様の印籠だ。 スッと持ち上がった火宮の手の中には、ローターのリモコンが握られていて。 「ひっ…ご、めんな、さい」 俺に素直に謝罪する以外の、どんな選択肢があるというのか。 この上、ナカのローターを動かされでもしたら…。 恐ろしすぎる想像に、俺は渋々抵抗を諦めて、そのまま大人しくグラウンドに戻ることに従った。

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