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現状、オレの暮らし

 オレは王都とは別の、ほどほどに大きい城壁のある街の中、下町と呼ばれる地区で保護者のトバと住んでいる。  表通りに面したところに三階建石造りのギルドの建物があって、ちょうどその裏手。  時間にかかわらずに、声がかかるのはちょっと面倒だけど、にぎやかで出勤楽で、なかなかいい。  城壁に囲まれた街の中は、対魔物という意味では比較的安全。  街の周囲に村や農耕地があって、その向こうに森があるところが多い。  そんな風景を見て、オレは、里山みたいだなと思う。  冒険者の仕事は、冒険探検宝探しってところかと思っていたけれど、人それぞれってことで、オレはもっぱら便利屋的に隊商の用心棒とか、町の近くに出た魔物退治にいそしんでいる。  トバとサファテが、家を空けるのを嫌がるのだから、それくらいしかない。  生活の基盤を作れそうだと思った三年前に、「一人で暮らして自分の食い扶持は自分で稼ぎたい」と申し出たけど、二人そろって悲しそうな顔をされたので諦めた。  小遣い稼ぎ程度に冒険者の仕事に出て、あとはトバの家にいるか、サファテの家で家事をするか。  ニートじゃん。  そうは思うけど、そこはね。  オレもこの世界にきて五年たつけど、まだちょっとばかり心細かったりするので、いまだに甘えてしまっている。  今日の仕事は、森のはずれにある貯水池近く。  騎士団と連携しての、どこからか迷いこんできた魔獣の退治。  たかが魔獣退治で騎士団と連携とか、ギルドで引き受けた時には大げさなと思ったけれど、こりゃあ騎士団も出てくるよねーって、獲物を見たときに遠い目をしてしまった。  大きさアバウト、昔どっかの博物館で見たT-レックス。  但し印象としては毛むくじゃらでマンモスが近いし、足が三組六本に、伸縮する尻尾三本つき。  いやあ、魔獣だよね。  オレの記憶にある『けもの図鑑』には載ってませんよ、そんな動物。  しかも主食が人間――魔力が豊富ならなおよろしい、って、どうよそれ。  怖え。  そいつが大小で二体。  多分親子だろう、と、騎士団の隊長がいっていた。  そっか、親子か。  魔獣でも親子ってあるんだなあって、妙なとこで感心してしまった。  この魔獣は攻撃魔力のない種だけど、とにかく食欲が旺盛で、すでに数人食われてます。  それから背後から襲い掛かってくる尻尾には要注意。  今回の仕事にあたるメンバーみんなで、いくつかの注意事項を聞いて、作戦を知らされる。  とにかく二体を引き離すこと。  それが先決なんだそうだ。  騎士団の連中に比べれば力では劣るけれど、機動力はオレの方が上。  だからサファテがすごく嫌な顔をしていたけど、ひきつける役を買って出た。  サファテへのせめてもの気遣いで、小さい方にはした。  オレ、優しかろ?

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