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第20話
アトリエの中央で、裸の士乃は四つん這いの姿勢で、膝立ちでいる正岡の男根を滝井に命じられしゃぶり続けていた。下半身はイーゼルの方へ突き出され、その前に座る滝井の眼前に晒されている。
「……正岡。士乃の尻を開け」
滝井が指示する。自身を吸われて小さく呻いていた正岡は、士乃の頭を押さえていた手を放し、背中に覆い被さるようにしながら士乃の尻を両側から掴んで割り裂いた。
「もっと大きく。奥まで見せろ」
冷静な声で滝井が続ける。士乃は自分の尻がさらに強引に押し開かれ、最奥の窄まりが剥き出しにされたのを感じ、頬に血を上らせた。
「……それが限界か?じゃあ、指を挿れろ」
「え、でも、いきなりじゃ……」
「いいから」
「は、はあ……」
「ウ!……んン……!」
捻じ込まれてきた太い指の感触に苛まれ、士乃は正岡の性器を口に含んだまま、ぎゅっと目を閉じて呻いた。
「もっと深くだ」
指示に従っていた正岡が困惑して言う。
「けど先生、これ以上は……士乃、痛がってるし」
士乃は正岡の性器から口を放して囁いた。
「大丈夫だよ……先生の言う通りにして」
先生は……自分が痛みにどう反応するかが見たいんだ、だから……士乃はそう考え、閉じた目に涙を滲ませながら歯を食いしばった。
――床に横たわった正岡の腰の上に、命じられて跨る。
「あ……はッ!あ、アァっ!」
下から貫かれ、さらに強く突き上げられて、士乃は上半身を仰け反らせ、正岡の上で激しく喘いだ。
「ちょっと」
滝井が声をかけて正岡の動きを止める――次いで彼は細縄を手に二人に歩み寄り、士乃の中心にそれを慎重にかけ始めた――士乃は逆らわず滝井の作業をじっと見守っていた。
「先生……」
下から正岡が咎めるように呼びかけたが、滝井は
「すぐ済むから待ってろ」
とだけ答え、勃ちあがっていた士乃の男性自身を縛り上げてしまった。
「いいぞ、動け、正岡」
言われたとおり再び正岡が突き始めると、縛められた士乃の充血した器官が、それに合わせて生々しく跳ね動いた。士乃は思うように達せない苦痛と歓喜に苛まれ、突かれるまま、切なく啼き声を上げた。
「あ!や……こんな……もう……もう、許して、先生、辛い……!」
「そう……そうだ。上手いぞ……」
正岡の上で身悶える士乃を見つめながら、滝井は静かに言った。
達した正岡が士乃の中から自身を引き抜く――彼は滝井に促されて、シャワーを使いにアトリエを出て行った――士乃はまだいかせてもらっておらず、床に両手をついて蹲ったまま荒い息を吐いていた。滝井が歩み寄って命じる。
「仰向けになって、脚を開け」
士乃は滝井を見上げ、素直にその言葉に従い姿勢を変えた――両肘で半身を支え、潤んだ眼で滝井の顔を下から見つめながら、脚を開き、縛められた部分を晒す。
「……そんなに硬くして……哀れなほどだな……」
滝井は、士乃のそこを見下ろしながら低く言った。
「先生……お願いだよ、もう、解いていいでしょ……出したいよ……」
士乃は掠れた声で頼んだ。
「まだ駄目だ。もう少し、そのままでいろ……」
「どうして……」
「描きたいからだ」
滝井は手にしているクロッキー帳に鉛筆を走らせはじめた。士乃は目を閉じ、張り詰めた部分の苦痛に耐えた。
「辛いか」
士乃は声を出さずに小さく数度頷いた。うん、辛い。でも、構わない。先生が望むんだから。
「できたぞ、見てみろ」
言われて士乃が目を開けると、滝井は脇にしゃがんで士乃にクロッキー帳を差し向けた。そこには士乃の勃起した器官とその周囲だけが、角度を変えて数点、つぶさに写し取られていた。
「……ばらばら死体みたいだね……」
「そうか?」
「うん……先生に、殺された気分……」
「そうか……」
「でも……なんでだろ、嬉しい気がするんだ……」
「嬉しい……本当に……?」
「うん、ほんと……変かな俺?」
滝井はスケッチブックを床に置くと、縛めている細紐を解き始めた。開放感に士乃がホッとしかかった時、何を思ったか、滝井はいきなりその部分を片手で握り、軽く扱き始めた。
「や!?あ!なにやって……駄目だよ、先生、駄目……!」
「なぜ?いきたいんだろう?」
「そうだけど……!んッ!駄目だ、って……!先生、そこ、はなして!出ちゃうよ……!あ!」
「出しなさい。見たいんだから」
「そんな……!嫌だよ、せんせ……ウ!」
士乃は思わず、傍らの滝井のシャツの裾に片手を伸ばし、布を引き絞ってきつく掴んだ。
滝井が士乃の耳元で囁く。
「同性のこの部分を……こんなに詳しく知りたいと感じたのは初めてだ」
手の動きが激しくなる。
「そんな、そんなにしたら……ア、アゥ!」
この人は――手を触れもせず士乃をいかせられるのに……こんなことされたら。
「余さず描きたいから、見ておきたいんだ。士乃のここが……こんな風にされてどうなったか。そうして、君が追い詰められて、イく様が……見たい」
「いやだ……駄目!もう、限界……あ、あ!イっちゃ、イく、よぅ……!」
士乃は叫んで腰を突き上げ――彼の掌の中で達した。
士乃の性器を滝井はまだ放そうとせず、感触を探るように指を動かしている――その手にまとわりついている自分の体液をぼんやりと眺めながら、士乃は呟いた。
「だから駄目だって言ったのに……汚しちゃったじゃないか……」
「いいんだ。この手触りや……」
「ん……う」
果てた後のそれを柔らかく扱かれ、士乃は頭を小さくのけぞらせて目を閉じた。
「体温も……描きたいから。直に触って……確かめる必要があった……」
「……描いて……くれるの……?」
士乃は薄く目を開きながら滝井に問いかけた。
「ああ。士乃の……この肉体が私に伝えてきたもの……その全てが……描きたい……」
それは……ここにいる、生身の、士乃自身の身体が描きたいということだろうか?滝井にしか見えない、滝井の世界に住んでいる、あの人工物めいて美しい少年ではなく?もしかして……滝井は自分を、彼の「本当のモデル」にしてくれたのだろうか?
士乃は漸く……自分の中の、長い間空っぽだった部分が満たされたような思いを得た――それを味わいながら全身の力を抜くと……そのまま滝井の手に自身を深く委ねた――
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