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第2話

 衣服を整えながら、考える。 (俺って、そんなにセックス下手だっけ? それとも……) 「和己くん。今、僕の事『不感症じゃないか』って考えただろ」 「い、いや!? 断じてそんな!」  もちろんこれは方便で、図星を刺されていた。  なにせ律ときたら、セックスの最中に発する声は。 『あッ』  これだけである。  一回きりである。  これでは、どんな男も不信がるというもの。 「僕は不感症じゃないよ」 「じゃあどうして、セックスがあんなに淡白なんだ」 「それなら、どうしろって言うんだぃ?」 「もっと身をよじるとか、声を出すとか、いろいろあるだろ」 「例えば?」 「あぁん、そこぉ。もっとぉお! とか」 「変態」 「お前が言わせたんだ!」  僕は変態じゃないから、そんな事はしないけど、と律はベッドから立ち上がった。 「悪くはなかったよ、和己くん」 (素直に悦かったと言え!)

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