4 / 17
第4話
「メリークリスマス! プレゼント、気に入ってくれるといいけど」
「ありがとう、和己くん。開けてもいいかな」
赤と緑の包み紙を開けた律は、満足そうな顔をした。
(成功だ!)
律に贈ったのは、シンプルなデザインの腕時計。
店を廻り、ネットで探し、ようやく見つけた、彼にふさわしいと思われる逸品だった。
「これは……」
「うん!」
「時間という概念を贈ってもらえた、と考えてもいいのかな。和己くんの持てる時間全てを、この僕に捧げます、という意味なのかな」
「そ、そこまでは……」
「なんだ。違うのか」
なぜだ。
律の眼鏡にかなうプレゼントを贈っておきながら、なぜこんな敗北感を味わわなくてはならないんだ!
「じゃあ、今度は僕から和己くんへ」
そう言って律は、白い包みを取り出した。
「今年もお世話になりました」
律の手渡してきた白い箱には、熨斗(のし)が掛けてある。
そして『お歳暮』と墨で書かれていた。
「律、今日は何日だ?」
「12月24日だよ」
「クリスマス・イブだよな」
「世間一般では、そうだね」
ともだちにシェアしよう!