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第6話
待て。
ちょっと落ち着け、俺。
「じゃあこれは、手編みのマフラーなのか!?」
「そうとも言うね」
あの律が!
俺のために、手編みのマフラーを!
感極まった。
「よっしゃあぁ!」
目の前の律は照れたのか、横目でよそを向いている。
「それより大切なことがあるんじゃない?」
「え?」
手編みのマフラーより重要なことが、この世にあるのだろうか。
「それ、あくまでお歳暮だから。お返し、待ってるね」
「お返し、って。俺は腕時計をお前に」
あれはクリスマスプレゼントだろう、と律は言う。
「一方的に贈り付けられた品とみなすよ。僕があげたのは、お歳暮」
「お返し、って……」
気分がへの字に急転直下した。
肩を落とす俺を尻目に、ジュースをすする律。
(これは……、何とかせねばなるまい!)
このままいいようにおもちゃにされ、嬲られ、尻に敷かれ、笑われている場合じゃない。
俺もやるときにはやる、というところを律に見せつけなくては!
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