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第8話
律が検分した4つ折りの紙片は、全部で10枚。
メイド姿でご奉仕する、猫耳をつけてナデナデされる、ソフトSMプレイをする、などなど、和己のいかがわしい妄想の羅列の中に、一枚だけ『カニ』と書かれたものがあった。
「和己くん」
「いやぁ~、カニが引けなくて残念だったな、律」
「蟹、って漢字で書けないの?」
「焦点、そこかよ!」
和己くんの悪だくみを念頭に入れず、うかつにくじを引いた僕の失態だね、と律は諦めた様子だった。
「どうぞ、けだもののように犯すがいいよ。変態の和己くん」
「すましていられるのも、今のうちだぞ」
和己の脅しにも眉一つ動かさず、律は首をかしげて見せた。
「で、どこでヤる? 僕の部屋に来る? それとも和己くんの家?」
「聞いて驚くな。ここだ!」
「ここ?」
ここ、とは。
空っ風が吹いた。
寒空の下、冬でも葉を青く茂らせるシロツメクサが広がっている。
「今の俺は、けだものだぞ。どこでだって、ヤる!」
「もしかして、青姦プレイ」
「身も蓋もない事を言うなよ」
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