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第9話

 仕方がないなあ、と律はコートを脱ぎ始めた。  そうはいくか。 「言っただろ、今の俺はけだものだって!」  和己は脱ぎかけた律のコートに手をかけると、無理やり剥ぎ取った。 「ちょっと! そんなに乱暴にしたら服が破れちゃうだろ!」 「問答無用!」  ビーストモードに入った和己だが、さすがに服をびりびりに引き裂いて丸裸にする、なんてことはしなかった。  屋外は寒いのだ。素裸なんかにしたら、律に風邪をひかせてしまう。  脱がせるのはコートだけにして、セーターはたくし上げた。  下に着ていたシャツのボタンが面倒だ。  けだものらしく、全部引きちぎってやりたかったが、意外に丈夫に縫い付けられていたので諦めた。  とにかく俺は今、けだものなのだ。  けだものっぽく、ハアフウ言いながら、律のあらわになった胸を舐めまわした。  舌が乳首を掠ると、律はひくんと動く。  それに気をよくした和己は、今度は執拗にそこを舐め始めた。  大きく舌腹で舐め上げ、唾液でぬめらせる。  ヌルヌルになったところで、唾液を絡めた歯先で甘噛みする。  仕上げにちゅっちゅと強く吸えば、律は身をよじって逃れようとした。 「逃がさないぞ」  律の両手首は、和己の手によって強く掴まれている。 「逃げないから、離して。痛いよ」  律の哀願は、和己の心に完全に火をつけた。

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