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第5話
抱き合った身体を少し離してウミと顔を向かい合わせる。
「……ウミ」
挑戦的な、でも甘さを含んだ表情で笑い名前を読んだ。相手をソノ気にさせる──、見た目が良いだけが取り柄の俺の最大の特技だ。
ほわりとウミの頬に血が登るのが薄暗い照明でもわかった。
「名前、読んで」
誘うように瞼を伏せてキスをねだる。
「ナツ……」
それを合図にウミに口付けた。唇を軽く合わせただけで離し「これも初めて?」と聞くとウミが頷く。
「ごめんな、初めてが俺で……。代わりにヨくしてやるから……」
そう言ってもう一度口付け名前をねだる。「ナツ」と開いた口に舌を差し込んで深く口付けた。
尻の下にちょうどウミ自身が来るように、遠慮がちに離れていた身体を密着させる。首の後ろに回した手でさりげなく後ろ頭と首を愛撫しながら、密着した腰を緩やかに揺する。ついでに、ノーマルのウミが興奮するようにキスの合間に高めの喘ぎ声もサービスした。
「ぁっ……」
クチュ……と唾液の音の合間に混じる声に反応して、ナツの股間に熱が集中するのがわかる。冷静なままで行為をリードしようと思うのに、徐々に固くなっていくソレに自分が興奮してきたのを感じた。
だけど、それで正解だ。こういう一方的な視姦を楽しむような輩は、本気で嫌がるか、感じるか──、そのどちらかが一番興奮する。
キスに夢中になっているのを確認して、ウミの唇を舐めてから口を離す。それからウミと、もしかしたら客にも聞こえるかも知れない位の声でお願いする。
「しゃぶってもいい? しゃぶりたい……、ね、口にちょうだい」
「いい」と言われる前にナツの股間に手を伸ばして撫でまわした。
「おねがい、そこで見てて」
そう言って後ろにずり下がりナツの股間に顔を寄せる。ズボンの上からナツの股間に頬ずりをして、歯を使ってジッパーを下ろす。
あの男は「ビッチも付加価値だ」と言った。だったら、俺に求められているのはそれなんだろう。いかにも慣れたビッチが優等生を襲っているように、でもウミを怖がらせないように見られていることを意識して動いた。
直接的ないやらしい言葉とやや挑戦的な態度、それに煽るようなおねだりで媚びる事も忘れないように──。
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