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第11話
しばらく意識を飛ばしていたらしい。
気が付いた時には体操マットの上に横たえられ、ワイシャツの胸元をはだけていた。そして、鼻息荒く興奮した複数の視線。
強すぎる快感を得た後の、気だるい身体。
──ああ、まだ終わってなかったんだ……。
本人に意識が無くても勝手に身体は感じるらしい。胸の先をまさぐる指と舌の感触。ゾワリゾワリとそこを漂う快感の気配にゾッとしながら、鈍い感覚と意識がゆっくりと戻ってくるのを待つ。
いっそのこと快感なんて感じなければいいのに。嫌なだけなら、気持ち悪いだけならこんなに自分のことまで嫌いにならずに済んだのに。
涙を流すと相手が喜ぶのは解っていた。
だけどこんな時はどうしても大好きな旺実を思わずにはいられない。『ナツ』って呼んで抱き締めて欲しい。
今触れている手が旺実のものなら、喜んで身を委ねるのに──。
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