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第23話
気が済むまで泣いて、横柄に「悪かったな」と謝った。鼻水を流して、目を腫らして、気恥ずかしさに態度が悪くならずにいられない。
「ナツ、お風呂行こう。全部流してさっぱりしよう。それで、俺にナツのこと慰めさせて?」
甘く誘われて「もうやんねーよ!」と答えながら、それもいいかもな、と誘いに乗ってみることにした。
《動物園》の檻は地下にあるらしい。そこから更に1つ下の階にホテルの客室のようなフロアがあり、そこに1カ月の間寝泊りするように案内された。ウミと俺は同室で、だけど内部には個室もある。風呂も狭いユニットバスじゃなくてちゃんと広い浴槽がある。
……俺達、こんな所に俺達泊っていいの?
ぽかんと呆れる俺に「すげーな」とウミが声をかけた。
「快適な労働環境って、こういう事か……。たぶんどこかにチップも届けてあるって言ってた。最後に現金に換金できるんだって」
そう言われて見回すと、確かにテーブルの上にコインが置かれている。
「これか?」
「そう、多い方がナツだよ。貰ったのも覚えてない?」
「覚えてない」
「1枚5万円だって。すごいよね……これだけでいくらになるんだろ?」
「マジで!? すげえな……」
二人してすごい、すごい言いながら部屋の中を見て回り、湯の張られていた風呂に入る。さすがに疲れていたのか俺はすぐに眠くなり、最後は半分寝たままウミに抱えられて風呂を出る。
寝室は別々に用意されていたがウミのベッドに連れ込まれて、慰めるって言ってたし、疲れてるけどまぁいいか……とされるがままになる。
ウミは俺を抱き締めたままずっと頭を撫でていて、焦れったいそれに俺の方がしびれを切らす。
「何やってんの? やんねーのかよ」
「……慰めてるんだけど……」
「慰めるってそれかよ……」
子どもにするみたいなそれに呆れて、でもそれもいいかと思った。
俺をこうやって甘やかしてくれたのは、覚えている限り旺実とウミだけだ。
「じゃぁ、寝るまで、そうしてて……」
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