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須藤 蓮

 帰る方向の違う尚人と駅で別れてひとり電車に乗り込む。週中の終電間近の車内は疲れた顔をした会社帰りの人たちばかりだった。自分も周りから見たらその中のひとりなのだろうか。  窓に映る自分の姿をぼうっと眺める。それなりに仕事を頑張ってきてやっと最近スーツ姿も様になってきた気がする。趣味のフットサルは全くできなくなってしまったけど。体がなまるのが嫌で毎晩ストレッチと、休みの日にはランニングなどはなるべく続けるようにしているが。最近はもっぱらスポーツ観戦側に回っている。  鞄の中に入れっぱなしだったスポーツ雑誌を取り出した。大学生になってからフットサルにハマり、しばらくはサッカー一筋だったけど。手にしたバスケットボール専門雑誌をパラパラとめくる。  あることがきっかけでバスケットボールに興味を持った。中学のときにバスケ部だったということもある。その興味を持つきっかけになった人物が雑誌上に現れてそこで手を止めた。  この写真もイケメンだな。  ある実業団バスケットボールチームの特集。そのチームの花形である選手のアップ写真が載っている。  須藤 蓮(すどうれん)。  高校、大学時代と注目され続けてそのまま実業団チームへと入団した実力派の選手だった。顔がおどぎの国に出てくる王子みたいな綺麗な顔をしていることもあって、女子のファンも多いと聞いた。企業の広告塔みたいな役割を果たしており、こうしてスポーツ雑誌でも度々取り上げられていた。

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