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雀の囀ずりに混じって何か言い争いが聞こえる。 重い瞼をどうにか持ち上げると高い天井があった。 そうだ、昨日高そうな中華料理店に行って、その後佐藤さんの家で、したんだっけ。 「さとうさん…?」 ドアの向こうで音がピタリと止んだ。 代わりに足音が近づいてきてドアノブが回り扉が開いた。 「おはよう景くん。よく眠れた?」 朝から眩しいような爽やかな笑顔で、未だに起き上がれずにいる俺のベッドの端に佐藤さんは腰をおろした。 いつも俺が気を失った後は佐藤さんがシーツを変えて俺の身体も拭いてくれているため、腰の痛み以外とくに不快感はなかった。 「んー…、なんかまだ入ってる感じがする」 「朝からそんなこと言わないで、我慢できないから」 「今日も仕事?」 「うーん、うん…ごめんね。もっとゆっくり過ごしたいけど」 大きな手が伸びてきて頭を優しく撫でられる。 「いいよ、気にしなくてさ。無理しないでね」 「ありがとう。好きだよ、景くん。君の為ならなんだってできる」 さらりとしたシーツと手の温もりが心地よくてまた瞼が落ちそうになる。 「はいはい。じゃあ俺の為にしっかり稼いできなよ」 「お嫁さん…?結婚してください」 「卒業したら考えてみる」 意識が落ちかけては、浮上する。三回ほど繰り返したところで撫でていた手が目元に滑り塞がれた。 「今日は休日だろう、昨日無理をさせたからね。ゆっくりおやすみ」 うん、でも佐藤さんともっと話したい。 田辺のことも、この不毛な恋のことも俺より大人だから諦め方も知ってるよね。 「大丈夫だよ、ーーーーーーーー」 深く微睡みに沈んでいく、佐藤さんが何か呟いた気がしたけれど、もう聞こえなかった。

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