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一年の夏休み明けに、誠の耳に見慣れないモノがついていた。
「いいだろ、これ」
そういって得意げに笑う誠に「似合わないな」とは言えなかった。
一週間もしないうちに次は髪色が変わった。
濡れ羽色の髪から、明るい茶色に。ピアスはまた増えていた。
そのときから学校にあまり来なくなった。
必死に勉強して同じ高校に入れたものの、今さら小学生の時みたいに迎えにいくのも気が引けた。
職員室に呼び出されて、先生に誠のことを聞かれる。
質問の意図が分からなくて聞き返したら、どうやら反社会に近いグループと連んでるらしかった。
久しぶりに誠と家の前で会った。隣には女の子がいて、誠の腕にしがみついていた。
「よう、久しぶり」
「…久しぶり。彼女は?」
「これ?セフレ」
彼女はひどーいなんてケラケラ笑いながら腕に胸を押し当てていて。
「ねぇはやくしよーよ」
「うぜ。じゃあな景」
「…。ああ」
俺は目の前の光景を直視できなくて目をそらすと早足で玄関に向かった。
その後も何度か家の前で誠を見かけたが、毎回違う女を連れこんでいた。
話せばわかると思っていた。
でも既にあいつの中では俺は親友ですら無くなっていたことに気づいていなかった。
ナイフの様な鋭い目付きで俺を睨んでいた。
それが最後だった。
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