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「…ん、」 顎を指先で引かれて、緩くあいた唇の隙間に熱い舌が入ってくる。 舌先を絡めて、溢れる唾液を吸われて、上顎を擽られると身体が小さく跳ねる、悪寒に似た甘い痺れが背中を伝って腰に溜まっていく。 「はぁ、…ふ…、んん…っ…」 飲みきれなかった唾液が口の端から伝い落ちると、それすら舌で掬いとられて、またぴったりと唇を合わせられた。 伏せた長いまつげが開かれて、獣のような鈍い光を帯びた、ギラついた瞳で俺を射ぬく。 じくじくと腹の奥が疼きだしてきて、無意識に太ももを擦り合わせていた。 「〰️っ…は、さと…、んっ…、さとうさん」 「は、景くん…好きだ…、」 口内を貪られながら端に腰かけていた身体がベッドに乗り上げてくる、右足を取られて開かされた間に佐藤さんは身を滑りこませると、腰を持ち上げて膝の上に乗せられた。 「景くん…僕にとって君は人生において、とても特別な存在なんだ」 佐藤さんのが、丁度尻の穴に当たっては軽く擦りつけられる。 「ん、ん、ぅあ」 「可愛いね。キスだけでこんなにとろとろになって」 やっと長い口づけから解放されれば、耳に舌を這わされた。外側から窪みをなぞっていき舌を差し込まれる。片耳を押さえられて水温を立ててなぶられると脳内がぐちゃぐちゃに犯される錯覚に陥ってしまう。 「……っ、みみ、…嫌だぁ…っ」 ふぅと息を吹きかけられて、ビクリと身体が跳ねる。 熱を孕んだ低い声音で囁かれた。 「嘘つき。景くんは耳も弱いよね、こうやって中を擽られて」 「ん、ん、ん」 湿った耳の穴にちゅぽちゅぽと指を出し入れしたあと 「恥ずかしい音をたてて、吸われるのが好きだろ?」 ジュルッともう片方の耳を勢いよく吸われた。 「〰️〰️っ…ぁあ…ッ!」 どくんと心臓が跳ねたと同時に、下半身に鈍い重みが増した。 だらしなく開いたままの口にキスを落とされる。 「でちゃったね。耳だけでイけるなんて…やっぱり景くんは最高にいやらしくて、かわいい」 「んぇ?…あ…まだ」 染みができたズボンのチャックを下ろされて、濡れた下着から兆した陰茎を取り出された。 外気に触れたことでふるりと震える自身に佐藤さんの大きな手が触れる。 「いつみても綺麗な色だね。」 達したばかりで敏感なそこを、まるで検分するかのように親指で裏筋をなぞられて鈴口を弄られる。 「ひっ…、い、イったばっかだから…おねが」 「うん?涙目で可愛いね、いっぱい擦って…気持ちよくしてあげるからね」 不穏な笑みで楽しげに告げると、精液で滑った自身を巧みに擦られる。 「やめ、ぁっ…あっ、あ!」 絶妙な力加減で筋を辿って時折先端に爪を立てられれば内腿がひきつって、佐藤さんの身体をぎゅうっと脚で挟んでしまう。 ニ度目の絶頂はもはや目前だった。 「あぅ、ぁあっ…くっ…、ぅ…」 脇に付いていた手がシャツを捲し上げては腹筋を撫でながら、胸元に移動していく。 「ン…っ」 既にぴんと起っている突起を摘ままれる。 指の腹で回すように擦られて、挟んで引っ張られる。 「やっ、ン…、あ、あ」 もどかしい快感に背中が反って、自分から差し出す形になってしまう。それに誘われた様に佐藤さんがもう片方の突起に吸い付いた。 「んあ、ひぅ…っ、いたぁ…、あ、さとうさ…っ」 歯で強く挟まれたあとに舌のざらついた表面でなぶられれば、痛みと快感が直結して、さらに下半身に熱が集まっていく。 出会って一年。既に全身が佐藤さんに作り替えられていた。 もう、どうしようもないな。 きっとこの先二度とこの人以外、交わることはできないと身をもって知らされた。 熱に浮かされたように、未だに堅苦しく締まったネクタイにひと指し指を引っかけて、解いた。 「景くん?」 胸元のボタンを2つほど外して、鎖骨の上、シャツを閉じたときに見えるか見えないか、ギリギリのところに唇を押し付けて、強く吸い付く。 「ーーん」 なんせ、キスマークなんてつけたことが無いから少し緊張してしまう。 …できた。 赤い痕を人差し指でなぞって、驚いた様子の不埒な大人に、笑みを浮かべた。 「しかえし」 ー瞬間、ぐりっと乳首と鈴口に強く爪を立てられた。 「ひぎっ……っ、〰️〰️〰️ッ!」 ビュクっと勢いよく出たものが自身の胸元まで飛び散った。 「ッは…、はぁ……ぁ…」 過ぎる快感に全身が震えて、目の前のシャツにしがみつく。荒い息を整えていると、そっと左手を取られて指先に口付けられた。 「…佐藤さん?」 薬指を口内に含まれる。 生暖かな感触にピクリと指先が跳ねては 根元に歯を立てられて、 ーガリッと血が出そうなほど強く噛まれた。 「いっ…っ!」 「本当に君は、僕のことをどうしたいのかな。」 薬指にはくっきりとリングのように赤い歯形がついていた。舌先で滲んだ血を舐めとり、慰めるように傷口に唇が触れる。 「愛しすぎて殺してしまいたい…なんて。」 笑みを消した佐藤さんは生気のない人形みたいで 見たことのない暗い目をしていた。 「ねぇ景くん。卒業したら一緒に暮らしてよ。一生、僕の傍にいて」 すぐに頷けなかったのは、頷いたら最後、もう戻れないと直感したからだった。 それでも、帰る家もない俺には、もう佐藤さんしかいないから。 「うん…いいよ」 そう応えるしかなかった。 ぱっといつもの花が咲いたような眩しい笑顔に、これで良いんだと思えた。 俺には佐藤さんしかいなくて 佐藤さんは俺がいないと駄目みたいだから だから、これでいい。 首筋、腕、腹、脚、全身にキスの雨が降り注ぐ。 隠したい相手がいなくなった今、痕を誰に見られようがどうでもよかった。 腕を回して引き寄せると、合わさった唇に身を委ねる。 自分のなかで生じた違和感に蓋をするようにそっと瞼を閉じた。

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