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第7話
宝石君に振られたし、マンションの中もあまり歩き回れないから次の動画撮影の取材まで、部屋に戻って機材の整備とデータ整理をすることにした。
いつでもコーヒーは頼めるしいつの間にか片付けられていた部屋は清潔で作業は快適だ。撮影したインタビュー動画をパソコンで再生しながら、今回のまとめを考える。内容は問題ない。どこを出しても跳ねること間違いなしだ。あれだけ他のメディアに徹底して隠している宝石君の素顔、普段の口調や考え方まで撮らせてもらった。そして今回もNGを出さないんだろう。
こちらには良いこと尽くしだが、どうしても腑に落ちない。あともう一つ、男である俺をここに入れてること。ここにきてから一度も宝石君以外の男性の姿を見ていない。なのになぜ俺だけ許されているのか?
わからなくても、大いに利用させてもらうけどな……。
『一生こんなくだらない取材続けるの?』
見透かされているように言われた宝石君の言葉を思い出す。くだらないか……編集長には、いつも文句ばかり言ってはいるが、そんなに悪いわけではない。サラリーマン向け雑誌なんて今話題のメディアや人物、経済、グルメ、ガジェットなどの情報を集めていればいいし平和そのものだ。啓蒙や、問題提起もないし、何より血生臭いことは一切ない。平和が一番なんだ。
それのなにが悪い? 俺はもうとっくに、そんな戦場から逃げ出した負け犬なんだ。
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