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第19話
「先日とても悲しいニュースを知りました。皆様に重ねてお願いです。これ以上悲しいことが起きないようにどうか誰のことも責めないでください」
前回と同様、普段着で少し顔色の悪い、宝石君はカメラに向かって頭を下げた。
「現在僕のチャンネルは更新を控えていますが、このままでは継続することも難しくなると思います。もし少しでもまた見たいとと思っていただける方がいらっしゃるならどうかご協力をお願いします」
これも前回、同様絶妙のタイミングで大粒の涙をこぼした。すげーな。天才子役みたいだ。宝石君の合図で映像を切って配信は終了する。しかし、ちゃんと約束を守ってくれたことには感謝だな。
「これでいいの?」
「ああ、感謝する」
この映像がどんな影響を及ぼすかはしばらく様子を見ないと分からないが、何人かにでも響いてほしい。
「会社行かなくていいの?」
「今日は有給取って来たから大丈夫だ」
「そう……」
ほんと顔色悪い。元々ガリガリなのにさらに痩せた気もする。
「お前誰もいないってことは、なんか食べてるのか?」
「ない……」
おいおいおい!
「ちょっと待ってろ! なんか買ってくる」
慌てて財布を掴んで近くのコンビニに向かった。
・・・・*・・・・*・・・・*・・・・
「何これ?」
「19歳の胃腸ならヨユーーで消化できるはずだ。食え」
フライドチキンやおにぎり。スイーツなど手当たり次第買ってきた。コンビニ飯がいいとは思わないが、若いのにあんな葉っぱばっかり食べていていいわけがない。宝石君は食べたことがないのか、おにぎりの開け方が分からず苦戦している。それを取って開けてやった。
「へーーそうやるんだ」
意外に美味しそうに食べている。放っておいたらほんとに何も口にしないんじゃないだろうか……?
「お前お抱えシェフくらいは残しておいた方がいいんじゃないか?」
「ほら。僕今無職だから雇う余裕ないの」
嘘つけ!
「また買ってきてよ。もっと動画配信したいんでしょ?」
それはまた寝ろってことか?
「明日会社の後で、なんか買ってくるからとりあえずそれで食い繋いでろよ」
結局、彼の真意はわからないまま、複雑な気持ちを抱え宝石君のマンションを後にした。
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