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第20話
「どうだ? 何か変化あるか?」
「まあ、昨日の今日ですからね」
朝からずっと田野崎に動画の反響を中心にサーチしてもらっている。宝石君の2回目の放送を受けてワイドショーは今後、関連の報道を控えるべきだと、報道していて笑える。大物芸能人の結婚とか離婚とか、ドカンと被ってくれねーかなーーツイッターや、サイトのファンブログなどは、宝石君の気持ちを尊重すべき。彼の活動を妨げるのは本当のファンではない。との擁護派の意見も目立ち始めた。少しだが、効果は出ている。
自分で妨害しておいてなんだが宝石君はそれでいいんだろうか? 彼が復讐したいと思っているのは間違いないはずだ。彼らの名前や行いがある程度流布して社会的制裁を受けたことで満足してくれないだろうか。宝石君には悪いがなんとか、これで納めて欲しい。彼にとっては確かに全く酌量の余地がないほど憎むべき存在だろうが、復讐したところで何も報われないし、きっと将来後悔する。
「くろきーー」
神松の声がして、後ろから首元をがっしりと掴まれた。
「お前俺の忠告なんも聞いてないだろ?」
おっさんが耳元で囁くのやめてほしい。
「何もしてないですよ」
「へーーーー今回の動画不自然すぎっけどねーー」
俺が動いてるのはバレバレなんだろうけど、何してるかは言うわけにはいかないしなーー宝石君が19歳だからと言っても、それが彼からの要望であっても、あの子供のような風貌の彼とセックスしたなんて、どうにも罪悪感が拭えない。
「何してっかは知らねーーけど、ほどほどにしろよーーそして美味しいネタは編集部にキチンと上納しろよ」
相変わらず食えねーな。まあ心配してくれてるのは解ってるけどな。解ってる。解ってるけど今回のことは俺に大きな責任がある。
そして俺はこの件に関わって昔の自分の償いがしたいんだ。
余計なだけの自己満足で自己陶酔かもしれない……けれど俺に出来ることならなんでもするからこれ以上不幸なことは起きないで欲しい……。
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