3 / 30

第1話(3)

 名前を決めチュートリアルに従って基本動作を覚え、俺はFDの世界の一員になった。ゲーム内容は要するにバトロワだ。一回の試合につき約100人が戦場に投げ込まれ、最後の一人になるまで殺し合う。少しでも生き延びる可能性が高まるよう、より殺傷能力の高い銃器を拾いレベルの高い防具を身につけ、視界に入った誰かを殺される前に殺す。ルールはシンプルだし課金の有無が戦闘能力に影響しないのも公平でいい。他にも似たようなゲームは数多くあるが、FDは映像のキレイさとキャラクターの見た目のよさから登録者数はそこそこ多かった。アバターの性別だけでなく顔立ちや髪型などの外見が整形なみに細かく設定出来る。俺はよくわかんねえので男の初期設定のままだが。  コントーラー操作に慣れない者でも画面をさわるだけでそれなりにアバターを動かせる。あとで初期の俺が必死になって倒していたのは全部機械のプログラムでbotという自動人形みたいなやつだったと知って驚愕したが、まあそのbotさんたちのおかげで俺のようなゲーム初心者でもアバターを走らせたり銃を構えさせたりがいっちょまえになっていくわけだ。  モードには一人の「ソロ」、二人が組む「デュオ」、四人チームの「スクアド」が用意されている。ソロだとダウンしたらそのまま終わるが、仲間がいると蘇生してもらえる。たとえ死んだとしても制限時間内にデータを回収して復活ポイントへ向かえば、丸腰ながら生きて戦場に戻って来られるのだ。何という親切設計。だが自分がヘタクソ過ぎてまわりに迷惑をかけるのは申し訳ないという遠慮から、俺はしばらくソロでやっていた。

ともだちにシェアしよう!