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第9話
ここは明るく、あ…そうだAIちゃんファン繋がりだし、AIちゃんの話をしよう!
「そういえば今度の日曜日AIちゃんのコンサートがあるんだけど柚月くんは行かないの?」
「遥っ!!」
コウくんが怒ったように声を荒げた。
初めて聞くコウくんの声にビクッと身体が反応した。
コウくんは俺を虐めてた人じゃないのは分かってるけど…少し怖かった。
「…ごめんね、ちょっと疲れてて」
「うっ、ううん…俺もごめっ…わわっ!!」
コウくんが本気で落ち込んでいたから慰めようとコウくんの髪に触れる前に横から引っ張られて、柚月くんの身体に抱きつく格好になった。
コウくんは気が緩んでいたのか握った手は簡単にほどけた。
手を握るよりこれは恥ずかしいとすぐに退こうとしたが、柚月くんががっちり俺の身体を抱きしめてるから逃げ出せなかった。
俺は柚月くんに抱きしめられてるから柚月くん達の表情は分からないがガタンて椅子が倒れる音がしたからコウくんが立ち上がったのかなとぼんやり考える。
「遥から離れろ」
「遥を不安にさせるお前が遥から離れろ、遥のダチは俺だけでいい」
「っ!?…遥、俺の悩み教えてあげる…遥が悪い男に利用されて無理矢理友達にさせられたんだよね、助けられなかった僕は悔いてたんだ、ずっと…」
「……お前の妄想ヤバいな」
コウくんも柚月くんも何言ってるのか分からず、理解しようと考える。
二人の話を合わせると、俺は友達一人しか作っちゃいけないのかな?
…友達がいない間にそんな世の中の常識になっていたのだろうか。
「いつまでそうしてるんだ、遥から離れろ」
コウくんの口調がいつもの優しい感じとは違くて二人の知らない面を見れて驚きっぱなしだ。
意外と仲良くなれそうな気がする、お互い素を出してる気がして…
俺はコウくんに引っ張られて元の場所に座った。
二人はまだ喧嘩をしていて、俺は頼んだオレンジジュースを飲み見守っていた。
「そもそもAIのファンとか嘘みたいだ…遥を騙してるんじゃないのか?」
「……………………お前こそ、そうは見えねぇな」
「残念ながら、俺はAIをよく知ってる…俺は遥に嘘なんて付かない」
「…そんなに好きなら遥に構ってないでその女のところに行けよ」
「AIと遥は好きの次元が違うんだよ、一緒にするな…お前こそAIをその女って言って全然ファンに見えないけど?」
「……今は遥のファンだからな」
なんかよく分かんないけど二人共恥ずかしい話をしてないか?オレンジジュースを飲むペースも自然と早くなる。
……あれ?こんなに暑かったっけ?
オレンジジュースがなくなってしまった。
「二人共、ちょっとオレンジジュースのおかわり頼んでくるね」
「…うん、気を付けてね」
「ゆっくりでいい、コイツとちょっと二人で話があるから」
「分かった、トイレも行きたかったからちょっと遅くなるかも」
俺は二人に手を振り店内に入っていった。
二人で話したい事か…俺がいたらいけない話でもあるのかな?
……俺の悪口じゃなきゃいいなとネガティヴになったが二人は学校の連中とは違うと思い直した。
帰ってきたら仲良くなってたらいいなと思いながら…
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