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第10話(視点なし)
遥が店内に入り、二人はアイスコーヒーと緑茶を飲みながら同じ事を考えていた。
((…オレンジジュースって、可愛いな))
そして二人目が合い同じ考えをしてた事に気付きまた睨み合う。
「…それで、遥なしで話とかしたくないんだけど…何?」
「………お前、アレだろ」
柚月が外を指差す。
そこにはアパレルショップがあり、薬師寺煌のポスターが大きく貼ってあった。
それを見たコウはため息を吐いた。
「……はぁ、それが何?」
「いや、遥は知らないみたいだからな…そのサングラスも変装だろ?」
「遥はちょっと臆病な性格だからね…だから守ってあげたくなるんだけど…僕がモデルとかやってると恐縮しちゃいそうで、ただの高校生として一緒にいたいだけ」
「……」
柚月は別に弱味を握ったとは思っていない。
立場としては同じだから、ただ…自分の敵がどんな奴か確認したかっただけ…
それはコウも同じなのか柚月を見てニヤッと笑った。
「僕の弱味を握ったとは思わないでよ、僕より君の方が立場は悪いからね…南高の魔王、だっけ?」
「…周りが勝手に呼んでるだけだ、お前…調べたのか?」
「遥以外の事なんて正直どうでもいいけど、お前は遥を不幸にする…だから離れてくれと言ったんだ、魔王の事だけじゃなく家の事も知ってる」
その言葉を聞き柚月はより不機嫌な顔をした。
コウは遥のために柚月金と権力を使おうとしたが、柚月の家は有名すぎて、その必要はなかった。
遥を怖がらせるかもしれないが、それと同時に遥を守れるのは自分だけだ。
正直コウの見た目から喧嘩慣れしてない…つまり弱いから遥を守れないと思っている。
「…遥を守れるのは俺だけだ」
「お前が近くにいるだけで野蛮な男が寄ってきて遥が危険になるって言ってんだよ」
「お前が一番危険人物だろ」
お互いだんだんイライラしてきて、今すぐにも掴み合いになりそうだと思っていたら、カフェテラスに遥が戻ってきた。
お互いすぐに掴もうとした手を離し、遥に穏やかな笑みを見せた。
その変わり身は見事なものだった。
遥はその変化に気付かずおどおどした感じで二人を見る。
「もしかして、話の邪魔しちゃった?」
「ううん、もう彼と話す事はないから大丈夫だよ」
「……二度とないかもな」
なんかさっきよりも険悪になってるような気がしながらも元の席に座る。
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