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第11話

二人の事を気にしながら離れたから遠くから内容は聞こえないが話してるように感じて安心したんだけどなぁと思いながら初対面が終わった。 俺はコウくんと蕎麦屋で柚月くんとアドレス交換したけど二人はしてない。 友達の第一歩としてすすめようとしたが、なんかカフェから出てからも睨み合う二人にとてもじゃないが言えないなと諦めた。 二人が心から友達だと認めたら自然と交換するだろうと待つ事にした。 そしてコウくん達は俺を家まで送ってくれるらしく歩く。 長く話出来るのは嬉しいけど…俺、女の子じゃないから大丈夫だと断ろうとしたら柚月くんに「また不良に絡まれるぞ」と言われ何も言い返せなかった。 ……情けないな、俺。 そんな情けない俺に呆れるわけでもなくコウくんは物凄く心配してくれた。 …コウくんも柚月くんも優しいな。 俺はお言葉に甘える事にした。 コウくんは俺をジッと見ていた。 ?…どうかしたのかな? 「遥、なにか部活してるの?ジャージで帰るなんて熱心なんだね」 「…っ!?」 コウくんと柚月くんの視線が俺の方を向く。 二人は何も知らない、当たり前だ。 やっぱり柚月くんも部活だと思ってたみたいだ。 ……二人に嘘は付きたくない、でも…虐められてるなんて分かったら軽蔑されちゃう。 俺はバレないように二人に笑った。 「…う、ん…そうなんだ…ははっ」 「……そっか、怪我には気を付けてね」 「頑張れよ…」 二人は俺の気持ちを察したのか何も言わなかった。 …それが嬉しくもあり、気を遣わせた事への罪悪感でいっぱいになった。 家の前で二人に別れを言い家に帰ってきた。 クリーニングは明日の放課後に取りに行こうと考えていた。 友達が二人も出来た…タイプの違う二人だけど、相性が良さそうに見えたのは気のせいなのかな? 部屋に行きカバンの荷物を出していると、机に置いていたスマホがさっそく着信をお知らせしていた。 コウくんからだ。 「もしもしコウくん、さっきぶりだね…どうしたの?」 『チケット取れたから言っとこうかと思って』 「えっ、もう!?」 一昨日チケットの話したのにもう取れたなんてコウくんはやっぱり凄いな。 柚月くんも誘いたいけど、準備してなかったら今からチケットは無理そうだよね。 コウくんはなにか言いたげな感じで「うー」とか「あー」とか唸ってる。 「コウくんどうかしたの?」 『…遥はアイツの事、どう思ってるの?』 「アイツ…?柚月くんの事?」 『うん、危なくない?あの制服…南高でしょ?あんな不良高校に通ってるような男…僕は、野蛮な奴は嫌いなんだ』 「…コウくん」 知らなかった…コウくんの気持ち。 確かに南高は悪い噂しか聞かないけど、柚月くんは普通の不良とは違うと思う。 …気まぐれでも俺の事助けてくれたし、こんなオタクで根暗な俺でも友達になってくれた。 その事をコウくんに説明しているとコウくんは素っ気ない感じで「…そうなんだ、ごめんね」と言っていた。 コウくんにも柚月くんの良さを知ってもらいたかっただけなんだけど、余計な事言っちゃったかな? 『遥は僕より彼がいいんだね…彼なら守ってくれるからね』 「……コウくん?」 『ぼくは………………だから』 なんか重要そうな部分だけ小声で聞き取れなかった。 声だけでコウくんの顔が見えないのが不安になった。 今すぐ会って「コウくんも俺の大切な友達だよ!」と言いたいが、窓を見ると外は真っ暗でコウくんに迷惑が掛かるから行けなかった。 今日会った時も思ったが、コウくんはなんかほっといたらいけないくらい弱々しくなる時があるみたいだ。 まだ数えるほどしか会ってない俺が言うんだから多分、間違ってない。 コウくんに「俺はコウくんも大切な友達だと思ってるよ!」と言ったがコウくんからは空返事しか帰って来なくて通話はこれで終わった。

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