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第12話
彼だけが……偽りではない僕を見てくれた……僕を…
子供の頃から周りに期待されて育ち、何もかもが完璧じゃなくてはいけなかった。
……僕は決められた道をただ進むマリオネットだった。
だから芸能界に入った……新しい道を切り開くために…
けど、結局期待の目からも逃げられず何も変わらなかった。
……周りは裕福でいいやら、容姿に恵まれてるやら好き勝手言う。
代わりたいならいつでも代わってあげる…僕が願ってもそんな事は不可能だけどね。
僕は憧れていた、ただの一般的な家庭に住む自由な人間に…
………そして僕は出会ったんだ、自由にのびのびする少年に…
出会いは偶然だった。
彼は普通の容姿で根暗のようだったが、自由に生きてるようで彼になりたいと思った。
芸能人だと隠す僕に期待も欲望もない純粋な瞳で笑いかけてくれた。
僕が初めてマリオネットの道から手を引いてくれる存在だと思った。
そしてあの男と出会い、彼が欲しいと気持ちが変わった。
僕が先に知り合ったのに、僕の遥を横取りして…僕の憧れの遥が汚された気がした。
野蛮な奴は嫌いだ、力で押さえつけようとするから吐き気がする……殺してやりたい。
僕は楽になるという答えは死を意味すると考えている。
遥が辛くて楽になりたいというなら、憧れの遥のためにナイフをためらいなく振り下ろすだろう。
僕は……遥に好きでいてほしいから何でも叶えてやりたい。
……可笑しいのだろうか、愛するという意味はそうではないのか。
僕は僕のやり方で彼を守ろう……
彼のためなら…天使にも悪魔にもなろう。
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