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第四章 バラの花束

 まだ明けない梅雨は、どんよりと重い空模様。  いつ降り出してもおかしくない、そんな湿度まで抱えていた。 「お客さん、今日も少ないですね」 「新庄くん、それを言ってくれるな」  この商店街がまだ賑わっていた頃は、買い物客で席はいつもいっぱいだった。  そんな昔話を、新庄はなかなか信じてくれない。  だが、その時代を幼い目に見ていた幸樹は、確かにそうだ、と相槌を打つ。 「待ち席にまで、お客様がいらしたんですよ」 「信じられないなぁ」  朝から来たお客様は、全部で6人。  これでは、とてもこの先やっていけない。  遠山が溜息をついた時、ドアベルが鳴った。

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