33 / 195
第四章・6
へたり込んだ遠山に、幸樹は慌てて駆け寄った。
「しっかりしてください!」
「マスター、大丈夫ですか!?」
おやおや、と玄馬は眉をハの字に下げた。
「幸樹より前に、マスターが花ことばを知ってしまうとは」
代金、ここに置いておくよ、と玄馬は千円札をテーブルに出すと、席を立った。
「玄馬さん、帰っちゃうんですか!?」
「また、来るよ」
ドアベルの音が、遠山の耳に響いた。
「玄馬さん、とか! 幸樹くん、君は一体どこまで……!?」
「あ!」
どうしよう。
バレたかな。
僕と、玄馬さんとの関係。
「マスター、大丈夫ですか!? 救急車、呼びますか!?」
新庄の心配そうな大声が、幸樹には救いだった。
ともだちにシェアしよう!