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第四章・6

 へたり込んだ遠山に、幸樹は慌てて駆け寄った。 「しっかりしてください!」 「マスター、大丈夫ですか!?」  おやおや、と玄馬は眉をハの字に下げた。 「幸樹より前に、マスターが花ことばを知ってしまうとは」  代金、ここに置いておくよ、と玄馬は千円札をテーブルに出すと、席を立った。 「玄馬さん、帰っちゃうんですか!?」 「また、来るよ」  ドアベルの音が、遠山の耳に響いた。 「玄馬さん、とか! 幸樹くん、君は一体どこまで……!?」 「あ!」  どうしよう。  バレたかな。  僕と、玄馬さんとの関係。 「マスター、大丈夫ですか!? 救急車、呼びますか!?」  新庄の心配そうな大声が、幸樹には救いだった。

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