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第四章・9

 ぼうっとしているところに、携帯が鳴った。 「誰だろ……、玄馬さん!?」  急いで出ると、あの静かな低い声がした。 『幸樹、今日はすまない』 「いえ。あの、お花ありがとうございました」 『マスターは、大丈夫?』 「はい。今は落ち着いて寝ています」  そう、と答え、喉奥で笑う玄馬。 『まさか、腰を抜かしちゃうとは思わなかったよ』 「僕がいけないんです。ちゃんと、玄馬さんとのことお話ししてなかったから」 『言ったの? 私との関係』 「キスだけした、って打ち明けました」

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