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第五章・5

 黒の開襟シャツに、黒のスラックス。  黒のキャンバスシューズに、黒のボディバッグ。 「やっぱり、真っ黒なんですね」  混雑した大学のカフェテリアでも、幸樹は簡単に玄馬を見つけることができた。 「これだと、解りやすいと思ってな」  しかし、と玄馬は顎を撫でる。 「30過ぎの男が、大学生のふりをするのも大変だ」 「教授ファッションにすると、良かったのに」  確かに、と二人で笑った。 「何を食べる? 御馳走するぞ」 「いえ。先日お世話になったので、今日は僕が払います」 「年上には、奢らせてくれ」 「そういうわけには」  いいからいいから、と押されて、玄馬は幸樹とともにトレイをもって列に並んだ。

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