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第六章・8

 医務室に連れて行くわけにもいかないので、玄馬は車に幸樹を乗せた。  後部座席に彼を寝かせると、大きく息をついた。 「まったく、私としたことが」  止めようと思えば、やめられたはずだ。  そんなに性に飢えてはいない。 「だが、幸樹。君が可愛すぎるんだ」  デートしながら、講義のことを忘れない生真面目な性格。  これは玄馬にとって、初めての新鮮さをもたらしていた。 「君は本当に、まっとうな堅気の人間なんだな」  玄馬は幸樹の髪を、さらりと撫でた。  私が君を愛することは、許されるんだろうか。  そして。 「君は、私を愛してくれるのか」  訳の分からない、いたずらめいたセックスを強要してしまった。 「どうか、怒らないでくれよ」  何度も言うが。 「君が、可愛すぎるんだ」  玄馬は幸樹が目覚めるまで、その髪を優しく撫でていた。

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