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第七章・2

 長かった梅雨も、まもなく明けようという頃、玄馬は一つの決意をしていた。 「松崎、あのカフェをどう思う?」 「なかなか陥落しませんね。やはり、トラックで突っ込みますか」 「それは、できない」 「若。まさか、あの少年ですか?」  玄馬は、瞼を閉じた。  浮かんでくるのは、あの笑顔。 (幸樹。こんなにも君が、私の心に食い込んでくるとは思わなかった)  彼の思いを読んだかのように、松崎は釘を刺してくる。 「あなたは九丈組を背負って立つ御人です。それをお忘れなく」 「解っている」  だが、理性が感情に追いつかないのだ。 (カフェのマスターが、幸樹と私の仲を認めてくれるには)  気付くと、そればかりを考えている。  幸樹との逢瀬は続いているが、彼はいつもマスターのことを気に病んでいる。 『僕、遠山さんに隠れて玄馬さんとお付き合いしていることが、苦になるんです』  先だっても、そう言って悲しそうな表情だった。  明日、久々に朝からカフェへ行こう。 (その時、片を付けよう)  そんな決意を、固めていた。

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