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第七章・5

 決まりました、と松崎は両手をパチンと合わせた。 「若。このカフェは残し、その少年とは別れてください」 「それでは私に、あまりにも利がないじゃないか!」  遠山は、もろ手を挙げて喜んでいる。 「それで行きましょう! 幸樹くん、ヤクザさんとは縁を切るんだ。いいね?」 「それはできません。遠山さん、僕の気持ちも考えてください!」  とにかく、松崎も遠山も、玄馬と幸樹を引きはがすことに躍起になっている。 「若、ご決断を!」 「幸樹くん、今ならまだ間に合う!」  もう、遅いんです!  幸樹は、涙をこぼして叫んでいた。 「遠山さん、ごめんなさい。僕はもう、玄馬さんから離れられないんです!」  ほとんど毎日、玄馬は幸樹に会っていた。  食事をし、映画を観て、ドライブをした。  水族館に行き、美術鑑賞をし、海を眺めた。  そしてキスをし、愛し合った。  玄馬との時間は、幸樹を彼から引きはがせないほど深く根を張っていたのだ。

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