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第七章・7
何か、円く収まったって感じ? と陽気なのは新庄だけだ。
松崎も遠山も、腑に落ちないが致し方ない、といった渋い顔をしている。
ただ、玄馬と幸樹は笑顔だった。
(これで、幸樹が罪悪感を覚えなくて済む)
(これで、堂々と玄馬さんとお付き合いできる)
二人で抱き合いたいのをぐっとこらえて、互いに笑顔を向けていた。
「さ、話がまとまったらオーダー取りますよ。組長さんはいつものキリマンジャロですか?」
新庄が、場の空気を動かし始めた。
「そうだな。松崎やほかの者も、好きなものを頼むといい」
今日は私の奢りだ!
玄馬が晴れやかにそう言うと、途端に声が上がり始めた。
「俺、カツカレー!」
「スペシャルパフェ、2つ!」
「レインボーシェイク!」
「お前たち、ここぞとばかりに高いものを頼むのか!?」
まあまあ、と松崎は手近な席に掛けた。
「私もお願いしますよ。若と同じ、キリマンジャロで」
仕方がないな、と玄馬は腰を下ろした。
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