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第八章・2

 ピアノの生演奏が流れる中、ホテルのラウンジカフェで玄馬は松崎と待ち合わせた。  その彼は、小柄な、だが真っ直ぐな目をした少年を連れていた。  いや、青年になりかけの少年、と言ったところか。  それでも少年はきちんとしたスーツを身に着け、背筋を伸ばして立っている。 (幸樹と同じ年ごろか)  玄馬はそう判断し、松崎に目をやった。 「こちらの方は?」  おそらく彼が、松崎の言う『会っていただきたい人』なのだろう。  答えのないまま、少年の陰に立っていたもう一人の男が、前に出た。 「九丈さん。いつもお世話になっております」 「黒岩(くろいわ)さん」  玄馬よりやや背は低いが、鋭い目をした男・黒岩。  彼は、泉田(せんだ)組の若頭だった。

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