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第八章・6

「幸樹とは、結婚も視野に入れて付き合ってるんだ。余計な考え事を増やさないでくれ」 「幸樹さんとは、翔さんとご結婚後もお付き合いしていい、と私は考えます」 「何?」 「幸樹さんは、別宅に囲ってしまえばいいのです」  松崎、と玄馬は彼の肩を掴んだ。 「そんなことが、できるか!」 「幸樹さんにとっても、その方がよろしいかと」  松崎は、顔色一つ変えずに玄馬に訴えた。 「幸樹さんを、この世界に引きずり込んでもいいのですか? 危険が及ぶ可能性もあります」  図星を刺された玄馬は、荒々しく松崎の肩を離すと、席を立った。 「若!」 「その幸樹と、これから会うんだ。邪魔はするなよ」  足取りも荒く、その場を去った玄馬だが、心は乱れていた。 (確かに。幸樹を極道の世界に入れることは……、ためらわれるな)  父代わりの遠山も、大反対しそうだ。  今まで見て見ぬふりをしていた問題を、急に突き付けられた。  玄馬は、かすかな頭痛を感じていた。

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