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第九章・5
湯の中で交わっているので、浮力が働く。
それでも玄馬の腰突きは、幸樹を夢中にさせた。
「あぁ! んぁ、はぁ、あぁ! 玄馬さん!」
(玄馬さん、いつもより、激し……ッ!)
目の前の彼は、きちんと整髪してもいない。
オールバックの理知的な印象は影を潜め、彫り物の虎のように野性的に求めてくる。
「んッ、あ! ふぅ、あぁああ!」
幸樹は、二度目の精を吐いた。
「元気だな、今日の幸樹は」
「ごめんなさい。バスタブの中に」
問題ない、と玄馬は笑う。
幸樹の精なら、汚くも何ともない。
「でも、気になるなら湯を抜こう」
「あ、ダメ! そんなことしたら!」
浮力があって、こうなのだ。
もし、ダイレクトに打ち付けられたら……。
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