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第九章・9
シャワーですべてを流し、玄馬と幸樹はようやくバスルームから出た。
「何と、もうすぐ夕方だ」
「そんなに長く、お風呂に入ってましたっけ?」
バスローブをまとい、玄馬は冷たく冷えたワインをグラスに二つ、注いだ。
「飲まないか?」
「僕、まだ未成年ですから」
ミネラルウォーターを取り出す幸樹の笑顔は、素敵に輝いていた。
「そういう、何でもないことが。どうしてこんなに魅力的なんだろうね」
「え?」
「いや。いつ、一緒に飲めるかな。幸樹の誕生日は、いつだ?」
訊くと、3月で19歳になると言う。
20歳は、まだまだ先だ。
「遠いな」
「まだ8月ですから、ね」
こんなお子様に、どうしてここまで深入りを。
どうしてこんなに、深く愛してしまったのか。
「幸樹」
「何ですか?」
まったく無防備な、笑顔。
その頬に、玄馬は触れるだけのキスをした。
「愛してるよ」
「え? あ!? 何ですか、急に!」
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