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第九章・10

 急じゃない、と玄馬は笑った。 「いつもそうだ。いつでも、愛してる」 「う、嬉しいです……」  照れてうつむく姿も、愛らしい。 (こんなにも胸を占める人間は、幸樹が始めてだ)  今まで、さまざまな人間と付き合った。  皆、玄馬に組み敷かれて、悦なる嬌声を上げたものだ。  それでも、幸樹は彼らの誰とも違う。  特別なのだ。  過去に、こんな人間はなかった。 (過去に、か)  では、未来には?  玄馬は、ふと翔のことを思い出していた。 (彼とは、どういう関係になってゆくんだろうか)  幸樹と同じ年頃の、少年。

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