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第九章・11
『単刀直入に言います。九条さん、私と結婚してください』
「結婚、か」
「玄馬さん、何か言いましたか?」
「いや、何も」
幸樹は、どう思っているんだろう。
(私との結婚を、望むだろうか)
なにせ、組に嫁ぐことになるのだ。
障害は多いだろう。
「玄馬さん、やっぱりさっきから何か独り言を」
「ごめんごめん」
今は、いい。
今日は、私の本当の姿を幸樹に認めてもらえただけで、充分。
玄馬はグラスを掲げて、幸樹と乾杯した。
ワインとミネラルウォーターとで、乾杯した。
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